灯油でもディーゼルエンジンは回る
しかし、そもそも灯油で車は走るのか、という疑問もある。
これに対し、いすゞ自動車広報部は、
「一般論でいえば、燃料タンク周りにあるゴム類の部品や金属を溶かす可能性があり、燃焼温度が高くなってエンジンに負担をかけるのは確実。また排ガスにも悪影響が出る」
としながらも、「ディーゼルは(灯油でもエンジンが)回ってしまう」と指摘する。石油業界関係者も「灯油でも確かにディーゼルエンジンは回っちゃう。ディーゼルは耐久力があるから」と話す。
ディーゼルエンジンを積んでいるのは主にトラックやバスなど。燃料費のコストがかかる運送業を営む人々からすれば、灯油の使用がそのトラックの燃料費を下げるということにつながる。前出の石油業界関係者は、
「この問題は、税金のかけ方が不正給油の温床になっているという皮肉な事例。悪用されない限り、灯油自体は悪くない。行政当局も追っかけるのが難しいんじゃないでしょうか」
と指摘している。