カレーやカップめんなどの食品メーカーが、「復刻版」人気に沸いている。ハウス食品の「即席ハウスカレー<復刻版>」や江崎グリコの「グリコ ワンタッチカレールー」といった昭和60年代を中心に販売されていた、団塊世代には懐かしい商品だ。当時の味をそのまま再現し、売れ行きは好調だという。
「昔の記憶を呼び覚ます味なんです」
ハウス食品の「即席ハウスカレー<復刻版>」など復刻商品が人気だ
4月にカレーの復刻版を発売したハウス食品は、予定していた120万個すべての出荷を終えて、「店頭にもあとわずかと聞いています」(広報部)という。
レトロなパッケージに、つい手が伸びてしまう復刻版だが、その味はどうなのか。最近のカレールーは本格的で味も洗練されていて、それを食べなれている消費者の口に、黄色いスープのようなカレーがあうのだろうか。
「ワンタッチカレールー」を販売する江崎グリコにJ-CASTニュースは、「40年前の味ではおいしくないのでは」と聞いてみた。
広報IR部は「当社でいえば、いま販売している『熟カレー』以前のカレーはオトナの辛口、子どもの甘口といったカタチで味を追求してきました。『熟カレー』でコクを追求した結果、カレーの色も茶色くなっていきました。昭和のカレーは見た目も黄色いですし、コクがあまりないかもしれません。しかし、あっさりしていて、シャープさがあります。復刻版を買い求めるお客様は、子どもの頃になじんだ味を求めているようです。復刻版は当時の記憶を呼び覚ます味なのでしょう」と話す。
カップめんに缶詰、お菓子と続々
「復刻版」の発売はほかにも相次いでいる。江崎グリコはお菓子の「プリッツ」や「ビスコ」の復刻版も発売している。高速道路のサービスエリアやショッピングモールに展開している販売店「ぐりこ・や」(全16カ店)とインターネットショップでしか買えない限定品。「パッケージが新鮮なようで、若い人に好評です」(グリコ・広報IR部)という。
カップめんのサンヨー食品は06年10月に、75年に一世を風靡した「サッポロ一番カップスター」復刻版<みそ味><しょうゆ味>を限定発売したところ、大好評で07年2月に再度復活させた。
日本水産は07年3月から、「さば味付」「さば味噌煮」「さんま蒲焼」「真いか味付」を復刻。昭和30年代の缶詰の製造方法を、記録に残されていた昔ながらのレシピと製法で復活させ売り出した。味付けはしょうゆと砂糖、寒天だけというシンプルさが売りだ。
一方、復刻版カレーが売り切れ間近のハウス食品には、消費者から「定番として販売してほしい」「今度はいつ販売するのか」といった声が寄せられているという。
まだまだ復刻版ブームは続きそうだ。