一人でレストランやバーに入ったり、時にはシティホテルに宿泊したりと、時間、空間を自由に使い自分を磨く大人の女性を「おひとりさま」というらしい。その「おひとりさま」が困っている。大阪で女性客が襲われた「ペッパーランチ事件」以降、「一人だと怖い」という女性が続出しているというのだ。「おひとりさま」はどうしたらいいのか。
女性の一人客が増え、一つの市場を作りつつある
情報サイト「eine」では、「おひとりさま」の極意を伝授
「ペッパーランチ事件」は2007年5月9日、大阪心斎橋のステーキハウス「ペッパーランチ」で店長と店員が一人で食事中の女性客をスタンガンで脅し拉致。性的暴行をして、財布から金まで盗んだという卑劣な事件だ。店長と店員はかなり前から女性客を物色。犯行時は閉店のシャッターを閉めて事に及んだ。
この事件の影響は少なくない。「日経レストラン」の遠山敏之編集長は同誌のウェブ上のコラム「編集長の机から」(07年5月23日)でこう書いている。
「『おひとりさま』と呼ばれる、女性の一人客が増え、一つの市場を作りつつあるだけに、余計に影響が大きい」。
コラムによれば、事件による「風評被害」が出ていて、ブログなどを検索すると、「夜は怖くて、店に入れなくなった」という記事を多く目にするようになり、同誌編集部の女性陣も、「ちょっと怖いね」とささやいている、というのだ。そして、
「今週に入ってからは、さほど騒がれていないのが幸いですが、事件の続報が出てくると、またぞろ騒ぎになる可能性も十分にあります」
本来なら「安心して入れる場所」という信頼感があるはずの飲食店から「おひとりさま」離れが起きる危険があるのだ。
ちなみに「おひとりさま」というのは単に孤独を愛する人ではなく、彼氏や夫がいたとしても、時には「個」の時間を大切にし、自分を再認識したり、一人で行動することで新しい出会いや発見をする「女磨き」がコンセプトになっている。
「一人きりの行動は常に危険を伴う」
そんな「ひとり」を楽しむ情報サイト「eine」の編集長で、「カッコイイ女はおひとりさま上手」(PHP研究所刊)などの著書がある葉石かおりさんも、今回の事件について、「私自身も怖いと思った。そう感じた『おひとりさま』も多くいるのではないか」とJ-CASTニュースに話した。
では「おひとりさま」はこれからどうしたらいいのか。
葉石さんは、「女性が一人きりだと目立つし、一人きりの行動は常に危険を伴うことを忘れてはいけない」とし、店を選ぶ場合は信頼できる人からの紹介に頼る、ランチタイムに下見をする、などが必要で、「お酒を必要以上に飲むなどのスキを見せないこと。帰宅時間が遅い場合はタクシーを使う」といった防衛策も重要だという。
「一人客は年々増えているので、こうした事件は非常に痛い」
さて、レストランチェーンは「おひとりさま離れ」を防げるのか。ジョナサン、ロイヤルホールディングスにJ-CASTニュースが取材すると、いずれも「事件の影響で一人客が減っているという報告はきていない」と話すが、日本フードサービス協会は、
「男女ともに一人客は年々増えている中で、こうした事件は非常に痛い。ただ、同じような事件がこれから出てくることは考えられないので、マスコミがこれ以上騒げば、客離れになりかねない」
と風評被害を心配する。当のペッパーフードサービスはJ-CASTニュースの取材に対し、
「お客様の信頼を回復するため、当社社長が全国の店舗を一軒一軒回って、指導にあたっています」
と話している。