「単に中継しているだけで違法と決めつけられるのか」
一方、落合洋司弁護士は、今回の事件については「正当化する余地がない」としながらも、ACCSの「ウィニー合法利用説は机上の空論」とする見方に疑問を呈している。
その背景には、京都地裁がウィニー開発者に対して06年12月に下した判決の中で、「システム自体は価値中立的なものである」とする村井純・慶応大学教授の公判での証言に一定の理解が示されたことがある。落合弁護士は、「ウィニーの現状からすれば違法となる可能性が高いのは確か」との見方を示した上で、J-CASTニュースに対し次のように語る。
「(京都地裁の判決は)故意だった場合に違法になる、という見方で、単に中継しているだけで個々のファイルについて個別の認識を持たない利用者の行為まで違法と決めつけられるのかという疑問がある。線引きするのは非常に難しい」
つまり、「現状」を客観的に判断すれば、ウィニー利用者も著作権侵害行為を意図しているとみなされ、「違法」とみなされるのが確実だが、一方で、理論的に考えれば、個別の利用者が100パーセント意図的に侵害行為をする意図を持っているのは定かではない。というのも、「システム自体は中立的」だからである、ということのようだ。
「合法利用を『机上の空論』と一面的に決め付けてしまうことがいいことなのか。ファイル共有システム自体は中立的なものと判断されているし、使い方まで『違法』とされれば、技術の進歩が止まってしまう可能性さえもあるのではないか。私自身、疑問を感じつつ考えているところだ。ウィニーだけクローズアップしないで、広い視野で見ないといけないと思う」