元テレビ朝日アナウンサー丸川珠代さんが自民党候補として参院選に出馬すると正式に表明した。しかし、「なぜ自民党からの出馬なのか」といった疑問が残る。というのも、過去の発言には「反自民」といったほうがよさそうなものがあるからだ。
規制緩和には反対だった
「脱女子アナ宣言」では「タレント候補」批判までしていた丸川さん
自民党から正式に出馬表明した丸川さんだが、2007年5月22日に自民党本部で行われた出馬会見でも「なぜ自民党なのか」という質問が飛び出した。これについて丸川さんは、
「自分の熱い思いを届けるのであれば、政権与党の真ん中に入っていくしかないと、そしてその思いを届けるしかないと思いました。ですので、自民党から国の政治の場所に参加したいと、そう決意しました」
と答えている。さらに、翌5月23日の日本テレビ系の情報番組「スッキリ!!」に生出演した際にも、テリー伊藤さんに、丸川さんの過去の発言などを引き合いにして「不自然ではないか」と指摘されている。これについては、
「むしろ、自民党がやっていることがすべて良ければ、自分がそこに参加していく必要はないと思いますし、自民党だからできることはすごくたくさんあると思う」
と、答えになっているようなないような曖昧な返答をしている。
そもそも、丸川さんにこうした疑問が投げかけられるのは、過去に「反自民」的な発言をしていたためだ。現在、槍玉に上がっているのが03年に出版された金子勝・慶大教授との共著本「ダマされるな!―目からウロコの政治経済学」(ダイヤモンド社)での「反自民」的な発言だ。
07年5月21日付の日刊ゲンダイは、同書の
「自衛隊まで派遣した我々日本人のほうが、よっぽどオメデタイと思われてたりして」
「規制緩和を進めれば、激しい競争が起きて、社会は一部の大金持ちと、たくさんの貧乏人に分かれてしまうのではないか。年金改革や医療改革を進めれば、給付が減り、負担が重くなって、ますます将来の不安が大きくなるのではないか」
といった発言を引いて「周囲の誰もが『そもそも、なぜ自民党なのか』とアキレ顔だ」と評している。確かに、自民どころか、社民党か、共産党の主張に近い。
07年5月24日の夕刊フジも同書での「反自民」的発言について、「それだけに、テレ朝社内では『なぜ自民党から出馬するのか?』と、疑問・非難の声が渦巻いている」と報じている。
過去にはタレント候補批判
J-CASTニュース「あの笑わないアナウンサー」 参院出馬「不思議じゃない」でも紹介したネット上に掲載されている「脱女子アナ宣言」では「タレント候補」について、
「まるで党が有名人の威(この場合知名度)を借りるようなもの」「その人(タレント候補)たちが集めた票を政党の得票とするのは、有権者の意思を反映することになるでしょうか」
などとも述べている。一体全体この変身ぶりは何なのか。
J-CASTニュースが、丸川さんの受付窓口となっている石原伸晃事務所に取材を申し込んだところ、「書面で質問を送ってほしい」とのことだった。そこで、「自民党から出馬する理由は政権与党という以外にあるのか」「自民党の方針とこれまでの発言との矛盾が指摘されているが、これまでの意見は変えないのか」などの質問を送ったが、返ってきたのは質問には全く関係のない「丸川珠代の決意 日本人でよかった」と題した出馬についての意欲を語った文章だった。
丸川さんの署名がある文章の最後にはこんなことが書かれている。
「権力が過ちをおかしたときには、もちろん獅子身中の虫となってその過ちを正す覚悟です。どうぞ皆さん、力を貸してください」