作家の書いた書籍のほぼ全てを無断で丸写し。ホームページに掲載した大阪府堺市の派遣社員男性(43)が著作権法違反の疑いで2007年5月14日に逮捕された。「アフェリエイト収入を得ることが目的」だったというが、文章の丸写しで逮捕されるのは極めて珍しく、これを機に同様の告訴が増加すると見られている。
削除を要請したものの削除されなかった
丸写しされた「最新版 香水の教科書」。丸写しはアフェリエイト収入が目的だったという
丸写しされた書籍は、香水コンサルタント榎本雄作さんが書いた「最新版 香水の教科書」(学習研究社刊)。逮捕された男性は約100のURLを持ち、そのURLのほとんどを使って、無断で書籍のほぼ全てである109章分の文章を手動でアナログ入力し掲載していた。榎本さんは自分の著作物が無断で使用されていることを知り学研に相談。学研は06年9月に2回に渡り男性に削除を要請したものの削除されなかった。
学研はコンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)に連絡し、榎本さんと学研は男性を告訴。千葉県警生活経済課と柏署が07年5月14日に逮捕した。男性の目的は「アフェリエイト収入を得ること」で、月に10万円ほどの収入を得ていたという。
「書籍を丸写しするという今回のようなケースは初めて」
ACCSはJ-CASTニュースの取材に答え、
「これまではソフトウエアの海賊版や、最近ではマンガをスキャンしてアップロードしているなどの相談や告訴があったが、書籍を丸写しするという今回のようなケースは初めてだ。著作権問題は非常に敏感になっていて、これを機に(書籍を写す)こうした訴訟が増えていくと思う」
と話した。
学研は、
「出版社は、多くの読者へ作品を届けるため、作家が大変な努力と共に作り出した作品を預かり、その出版を担っています。当社としては、作家の創作活動を支援する出版社として、男性の行為は断じて許すことはできません。当社は、ACCSとともに、今後も著作権が正しく守られるよう、活動を行っていきます」
というコメントを出している。