「たぶん勤務医の全員が納得の一冊です」
マスコミ報道に対する批判は小松部長だけではない。
「魔女狩報道のオンパレード」、「マスコミの取材能力を呪う」。こんな文句が並ぶのは、医師だけの会員による「ドクターズブログβ」。会員たちの様々なブログが紹介されている。青戸病院の医師逮捕問題を引き合いにだした「30代の内科医」は、マスコミ報道に対して2006年夏にこう書いている。「医者=悪、(手術ミスの)原因=経験不足、のようにわかってもいないのにそういう構図に当てはめるのはおかしいんじゃないか」
「手術のベテランも最初からベテランだった人はいません。(略)ちょっと無責任すぎませんかね 言ってる事が」
医師が業務上過失致死罪に問われた裁判は、2007年6月の東京高裁だけで青戸病院関係を含め3事件の公判がある。医師や病院が損害賠償を求められる民事訴訟も、最高裁判所の資料で2003年度から最新数字の05年度まで毎年新たに約1,000件の訴訟が起こされている。医師を刑事事件で糾弾するのではなく、医療ミスの原因解明と予防を重視する枠組を作る取り組みや、医療事故被害者の救済を目指す制度などの研究が国レベルで始まっている。