TBS系の夜の報道番組「NEWS23」のキャスター、筑紫哲也さん(71)が2007年5月14日、番組の中で初期の肺がんであることを明らかにし、当面休業すると語った。同番組は1989年10月から17年以上続く長寿番組。筑紫さんの後継問題が今まで週刊誌をにぎわせてきたが、これをきっかけに後任を巡る報道が加速しそうだ。
筑紫さんは14日の番組冒頭で「先週、春休みの検査で初期の肺がんと分かった。しばらく治療に専念したい。がんに打ち勝ち、また戻ってまいります」と話した。
「みのもんた急浮上」の報道も
NEWS23の番組紹介のウェブページ
07年5月15日、東京スポーツ(16日付け)は、「後任『キャスター戦争』勃発か」と題し、筑紫さんの後継問題を報じた。番組制作会社関係者が「大物起用に動けない。入院中に番組を改編したらTBSの方が人でなし呼ばわりされるでしょうしね」と解説、大物でない「新興勢力」として、元日本テレビアナウンサーの福澤朗さんの名前を挙げている。
「えーまだやるんですか?」と題して筑紫さんを「直撃」したのは、3月22日号の週刊文春。あと3年は番組をやる気なのでは、という情報について質問された筑紫さんは、「この国にとって、むこう3年というのは大事な時期だから、この番組をやるかどうかとは関係なしに、自分の本籍であるジャーナリストとして、ちゃんとやらないと大変なことになるかもしれない、と一般論で話したことはあります」と答えた。同誌は「引き際が肝心ですぞ」と忠告している。後継問題には触れていないが、06年秋から番組に加わった元NHKアナウンサーの膳場貴子さんの写真を掲載している。膳場さんの番組初登場の前後に、後釜含みではないか、との見方もあった。
06年5月には、週刊新潮が「『筑紫哲也』の後釜に『みのもんた』急浮上だって」と報じた。
「眠らない男」「テレビ画面に出ずっぱり」と評されるみのさんには「テレビに出過ぎでは」との声も出るが、一方でニュース番組のキャスターを務めることに意欲を持っているとの指摘も従来からある。05年末にNHK紅白歌合戦の司会に決まったときは大喜びで、次の目標にニュース番組キャスター出演を据えたとの憶測も流れた。
日経田勢康弘氏急浮上、という報道も
05年9月には「歴史的大勝利が覆う危機/久米宏『圧勝』」で筑紫哲也『後継指名』へ」と週刊ポストが報じた。郵政解散とも言われ自民党が大勝した衆院選の選挙報道特番で2人が共演したことを取り上げた。
同年10月には、週刊新潮が「筑紫哲也『クビ間近』で日経『田勢康弘氏』急浮上」と報じた。田勢さんは日経新聞の元論説副主幹だ。
TBSはどう考えているのか。J-CASTニュースがTBS広報部に聞いた。電話に出た職員は「御社には広報対応しないことになっています」。
――なぜですか。
「ネット関係の会社には基本的にお答えしないことになっております」
理由はそれだけですか、と聞くと同部幹部の人に代わった。
「おたくの場合、これまでの経緯も(記事の)内容も含めて対応するのは適当でないと判断しました」
――判断したのはだれですか。
「広報部としてです」
――取締役会のような会議で決めたり、社長の指示で判断したのではないのですね。
「そうです。では忙しいので」
筑紫さんは14日夜の番組の終盤、周囲のアナウンサーたちに声をかけ「留守の間よろしくお願いします」とあいさつした。笑顔を浮かべ、少しさびしそうだったが、復帰に意欲満々のようにも見えた。