「近々上場する」「絶対儲かる」などと言われて、サラ金からカネを借りて未公開株を購入。にもかかわらず、その会社は上場の予定はなく、解約にも応じない、というトラブルが大学生の間で急増している。しかも勧誘しているのも同じ大学生で、その分マージンが入る「マルチ商法」的な仕組みになっているというのだ。
サラ金に連れて行かれ、2社から借金
国民生活センターでは、未公開株「マルチ商法」への注意を呼びかけている
未公開株購入トラブルで国民生活センターに多くの相談が寄せられている。そのほとんどが男子大学生だ。相談内容はざっとこんなものだ。
「同級生から『よい儲け話がある』と韓国の一流ベンチャー企業の未公開株への投資話を持ちかけられた。投資金額は65万円。そんなカネは無いと言うと『学生ローンで借りればよい』とサラ金に連れて行かれ、2社から借金をして支払った。しかし、買った株の会社名は知らされず、本当に投資しているのかすらわからない」
また、
「被害にあった学生は未公開株を購入したと考えているが、実際は『上場益の一部を受け取れる権利』の購入だった」
「上場益よりも、他の人を勧誘すればマージンとして10万円がもらえるマルチ商法的パターンに興味を持ち投資する。投資すれば他の人を誘う『資格』が得られ、勧誘のマニュアルがもらえる。マニュアルには勧誘の仕方のほか、法律に違反するので『絶対に儲かる』とは言ってはいけない、など注意点が記されている」
国民生活センターへの大学生からの相談は首都圏がほとんど。件数は2004年度まではゼロだが、05年度は5件、06年度は36件と急増している。勧誘は同級生、クラブ活動の先輩・後輩、アルバイト先や合コンでなどで行われる場合が多いという。そして、未公開株は上場予定がない会社だったり、解約を申し出ても「運用中だ」などと言われ返金してもらえない。
美味しい儲け話などあるはずない
金融庁はJ-CASTニュースの取材に答え、
「バックで誰が糸を引いているのか自体よくわからない。未公開株に関するトラブル件数は減少傾向にあるのだが、従来の無登録業者の詐欺の手口とは違っているような感じだ」
と話し、「マルチ商法」が目的で未公開株をエサにしている可能性もあるのだという。
国民生活センターはJ-CASTニュースの取材に対し、大学生のカネに対する欲ボケがこうしたトラブルを増やしているとし、
「美味しい儲け話などあるはずはない、と思うべきだ。ネズミ講であれば法律違反だ。勧誘があったら信用せず、きっぱり断ることが必要です」
と話し、今後も大学生に注意を呼びかける。