横綱・朝青龍との稽古で右の足首とひざの靱帯を損傷して夏場所への出場が不安視されていた小結豊ノ島が夏場所に出場することが決まった。豊ノ島の負傷はマスコミからは「朝青龍の荒稽古のせい」などと指摘されたが、朝青龍が所属している高砂部屋は「怪我は自分の未熟さ」などと発言。そんな豊ノ島と朝青龍が初日から対戦することが決まった。「因縁」ともいえる対戦が初日から実現してしまったことになる。
故意に相手をつぶそうとする横綱
初日の結びの一番で朝青龍と豊ノ島が対戦
朝青龍の場所前の稽古が波紋を呼んでいる。豊ノ島は2007年4月30日の時津風部屋で朝青龍と稽古中に負傷。小結に昇進したばかりの豊ノ島は、夏場所への出場が危ぶまれる「痛い」全治2週間の怪我を負った。しかし、これは、ただの稽古中の「事故」ではないとの見方がマスコミの報道で目立つ。
07年5月1日のニッカンスポーツは朝青龍について、「横綱としての品格を問われかねない荒げいこ」「ハメを外した暴れっぷり」などと評し、問題となっている稽古について次のように報じている。
「朝青龍が鬼になった。豊ノ島が低い体勢で飛び込んでくると、右腕でヘッドロック。そのまま寄り、首を左にねじり返して体をそらせた。相手が自分に背を向けて右足から崩れ落ちるところを、さらに上からプッシュ。その瞬間『グキッ』という鈍い音が、けいこ場に響いた」
さらに、ニッカンによれば、朝青龍は「残ろうとしすぎだよ」と言い、豊ノ島は「『残ろうとしすぎ』と言われても上から押された時に、もう勝負はついてたんですけどね」と述べたと言う。
さらに5月2日のスポーツ報知は、「時津風親方は朝青龍の狙いを見抜いていた」として、時津風親方の「豊ノ島を強くしようというけいこじゃなく、壊してやろうという感じだった」というコメントを紹介し、「故意に相手をつぶそうとするモンゴル人横綱に品格を問いただした」と報じている。朝青龍が故意に豊の島を負傷させた、とする見方がマスコミの中でも大勢のようだ。
にもかかわらず、朝青龍の「ダメ押し」報道が過熱する中で高砂部屋は5月3日に部屋のホームページにこんなことを書いているのである。
「あれは稽古場での事故です」
「24年大相撲でやってきて、何度も怪我を繰り返し、相撲を探究し、身体についていろんな方面から勉強して、間違いなく思うのは、怪我は、その99%が自分の身体の使い方の間違い、未熟さによるものである、ということである。(中略)相手のせいではないのである。怪我をした豊ノ島関本人からもそんなことは一言も言っていないと思うし、相撲センス抜群の力士だから、この怪我が更に自分を高めるチャンスとなるであろうことを期待する」
J-CASTニュースはこの発言の真意を確かめるべく高砂部屋に取材を申し込んだが、「(親方は)不在です。(いつ戻ってくるのかは)わからないです」と親方と直接話すことはかなわなかった。 一方の豊ノ島だが2007年5月2日にブログを更新し
「テレビや新聞でいろいろ報道されてますが、あれは稽古場での事故です。たまたま稽古相手が横綱だっただけです。今は体を動かせないので、太り過ぎないように体調管理したいと思います」
と述べ、こちらはきわめて冷静な対応を見せている。そんな豊ノ島のブログには、「潔良さに惚れ直しました」「『品性』、『品格』と言うことを思い出させてくれた今回の事故でした」といったコメントが相次ぎ、夏場所復帰を報告したエントリーを含めると250件以上の激励のコメントが寄せられている。
07年5月13日、5月場所の結びの一番で朝青龍と豊ノ島が対戦する。