「バブル」値段のマンゴーが大人気だ。1個2,000円くらいのものが飛ぶように売れ、なかには1個で15,000円を超えるものもある。この「バブル」なマンゴー人気の裏には、東国原知事がいる。でもそれだけじゃなく、「チョー高くても、食べたい」と思わせてしまう魅力があるらしい。
2,100円のマンゴーがよく売れている
宮崎県・東国原県知事は2007年5月10日、県産品のPRのため東京都中央卸売市場(大田市場)や伊勢丹新宿店を訪れた。この日、東知事が特にPRしたかった商品は「マンゴー」。同日、昼の情報番組TBS「ピンポン!」は、伊勢丹に現れた東知事を中継した。福澤アナウンサーは「宮崎のマンゴーは高いんですってね?」と東知事に聞いた。
「作るのに手間ひまかかるんですよ。木に1個2個しか(実が)ならず、それが完熟して木から落ちるのを待ち続ける」
だから甘くておいしいマンゴーができるのだと東知事は力説した。「なんとか安くしてくださいよ」。福澤アナが懇願まじりにお願いすると、
「例年だと、もう少し経つと安くなりますが、今年は値崩れしないんですよ。需要が多くて」。
番組内では、2個15,750円のマンゴーが紹介された。宮崎産完熟マンゴーの中でも一定の糖度と大きさの基準をクリアした「太陽のタマゴ」だ。J-CASTニュースが伊勢丹新宿店にたずねた。
「大きさによって値段が大きく異なり、最も大きいものは1個15,750円。最も小さいものなら1,575円。2,100円の大きさのマンゴーがよく売れている」
宮崎県では85年から完熟マンゴーを栽培しており、生産量は年々増えている。需要も右肩上がり、シーズン(4月~8月)平均単価も伸びている。06年の平均単価は過去最高でキロ3,300円で、07年のこれまで(4/1~5/4)の平均単価はキロ4,760円。06年の約1.5倍ということになる。収穫量が増えるのはこれからなので、もう少し価格の下落が見込めそうだが、「ブーム」のせいか値段は下がりそうもない、との見方が県の農協関係者には強い。
「ドシっとした独特のコクのある甘さ」
JA西都のHP上で、マンゴーの収穫方法が紹介されている
栽培方法が手間ひまかかるから完熟マンゴーは高い。ただ、東国原知事が言った「木に1個2個」は誤りで、1本の枝に1個か2個が正しい。とことん甘いマンゴーを作るために、1枝につき1個か2個、最も形の良い花を残して他を摘んでしまう。だから1本の木で幼木なら10個未満、成木なら50個前後しか実を結ばない。
収穫にも手間がかかる。県内有数の産地を管轄するJA西都によると、以前は桃やぶどうの栽培のように果実に紙袋をかぶせていたが、これだと完熟の度合いがわかりづらく、木から落ちてしまうマンゴーが続出。
「なんとか無傷で木から落ちたマンゴーを収穫できないか」
こうして、マンゴーをネットで包み、その端を木に結び、完熟して木から落ちたマンゴーをキャッチする収穫方法が生まれた。これは宮崎がルーツだ。ちなみに、国産マンゴー出荷量1位の沖縄では、気温が高いため完熟が早く、ハサミでカットして収穫するのが一般的とのこと。
では、丹精こめて作られたこのマンゴー、どんな味がするのだろう。宮崎県農産園芸課によれば、
「輸入された外国産のマンゴーを食べ慣れた人は、驚くと思います。船で1か月前後かけて運ばれたものと違って、木にぶら下がったまま完熟したマンゴーは、果肉が柔かくて果汁の多く、外国産のものとは『根本的に』違います。ドシっとした独特のコクのある甘さはたとえようがない」
だそうだ。ちなみに、07年5月10日放送のTBS「みのもんたの朝ズバッ!」で、蓮見アナウンサーは宮崎県産の完熟マンゴーを、
「宮崎の親善大使でもなんでもありませんが、ものすっごくおいしいんですよ。『桃のような感触』です」
と興奮気味に、わかるようなわからない表現でリポートした。