ポルノ画像が掲載されたサイトへのリンクを張ったとして、会社員ら2名が児童買春・ポルノ禁止法違反(児童ポルノ公然陳列ほう助)の容疑で逮捕された。起訴されたという報道もある。リンクを張っただけで実際に起訴されるのは異例中の異例で、インターネット界を激震させる「非常事態」にまで発展しそうだ。
大阪府警は2007年5月8日までに、ポルノ画像を掲載したサイトのURL(アドレス)を紹介したとして、児童買春・ポルノ禁止法違反(児童ポルノ公然陳列ほう助)の容疑で会社員と自営業の2名を逮捕した。新聞各紙の報道によれば、この2人はさまざまなポルノ画像を紹介する会員制サイトを03年に開設。これまでに会員費で1,000万円以上を稼いでいた。調べによれば、児童ポルノ画像が掲載されたほかのサイトのURLを会員に紹介した疑いがもたれているという。
リンクというのは「参照」でしかない、はずだった
さらに、朝日新聞は
「2人は『他人のサイトのアドレス紹介だけなら罪にならないと思った』と供述しているが、府警はアドレス紹介がポルノ画像の公開とみなされると判断した。大阪地検は7日までに、2人を同法違反(児童ポルノ公然陳列)罪で起訴した」(5月8日電子版)
と報じており、さらに産経新聞、読売新聞もそれぞれ、この2名が大阪地検によってすでに起訴されたと報じている。どうやら、サイトにリンクを張ることで逮捕・起訴されるという未曾有の事態にまで発展している模様だ。
ネット犯罪に詳しい紀藤正樹弁護士はJ-CASTニュースの取材に対し、
「リンクを張ることで逮捕されるのは96年9月の広島県警のときにもあったが、結局、不起訴とされた。単なるリンクである場合だと処罰されるのは難しい。というのも、リンクというのは『参照』でしかないというのが国の見解で、これが動くとは考えにくいからだ」
と答える。
紀藤弁護士は今回の逮捕・起訴については「単なるリンクじゃなくて、画像リンクではないか」と首をかしげる。しかし、「単なるリンク」で起訴された場合、ネット世界には大きな衝撃を与えそうだ。
首相の悪口を書いたリンクだって「有罪」
「リンクで『ほう助』に問われるとなると、児童ポルノだけでなく、名誉毀損についても影響を与えることになる。例えば、首相の悪口を書いたサイトへのリンクを張っているだけでも名誉毀損を問われるわけで、書いた人が有罪になるだけでなく、(リンクを張って)まとめた人も有罪になる可能性がある。こうなると範囲が広がりすぎる」
当然のことながら、様々なサイトへのリンクを表示する検索エンジンも非常に危険な立場に置かれることになりそうだ。J-CASTニュースが「エロは国境を越える! わいせつ画像検索すごい百度」で既報の通り、わいせつ画像が検索エンジンで簡単に検索できるため、これらの検索エンジンが、今回の事件を発端として、起訴されるまでいたるケースが起こらないとはいえない。「当然、その可能性もある」と紀藤弁護士も指摘している。