北海道で小学校のトイレを洋式化するか、それとも和式のままにしておくかで、関係者が頭を悩ませている。全国平均と比べると北海道では和式の率がかなり高く、北海道教育委員会は洋式化を進めたいとしている。確かに児童の希望では洋式の方が多いのだが、その一方でとくに女子では和式の好みも根強いため、事はそう簡単ではないのだそうだ。
北海道の小学校は洋式化に遅れ
学校のトイレ改修の一例を載せる札幌市HP
2007年4月2日付けの北海道新聞が、札幌市内の小学校では新1年生女子が和式トイレの使い方がわからず、数少ない洋式トイレの前で列をなすのが例年のことだ、と書いた。
これについてJ-CASTニュースが札幌市内のいくつかの小学校にたずねると、「そんなことはありませんよ」という肩透かしの返答だった。そして、「入学前の1日体験入学で和式の使い方を説明します」という学校や、「幼稚園で和式を使っていたから」という学校もあった。
また、北海道新聞の記事は、トイレ関連企業が作る「学校のトイレ研究会」の調査結果を紹介して、
「関東や関西で、小学校の女子トイレの比率は洋式3~4に対し和式1の学校が大半で、全国的にも洋式が半数近い」
とし、北海道内の洋式化の遅れが目立つと指摘している。
これについて北海道教育委員会は遅れを認め、「道内では洋式・和式トイレの比率は現在およそ3対7だが、その比率を逆転させたい」と説明した。
どうやら、洋式化の遅れで学校現場では大きな問題が起きているというわけではなさそうだ。だが、だからといって洋式化を進める必要がないというわけではないことは道教委の言うとおりだろう。
女子中学生の3割は和式派
今や家庭のトイレはほとんど洋式になっているのだ。
例えば「Yahoo! 知恵袋」や個人のブログなどネット上では、
「和式トイレは(水が流れる穴が)怖いといって駄々をこねる幼児もいる」
「使い方がわからず和式便器にペッタリとお尻をつけて座り込んでしまう」
などの書き込みが見られる。
一方、札幌市教育委員会が01年3月に行った、学校のトイレ問題の調査では、根強い和式派がいることを明らかにしている。市内小中学校の生徒に対して、「和式」「洋式」どちらを好むかを尋ねたところ、男子は学年に関係なく和式派が10%弱しかなく、洋式派が65%前後と圧倒的に多かった。
だが、女子は学年によって異なる結果となったのだ。
女子の場合、和式派は小学生低学年では16%、高学年は21%、中学生になると29%となり、学年が上がるごとに洋式トイレを敬遠する傾向が増えるのだ。理由は、直接便座に肌が触れるのが嫌だからだという。
いずれの学年も、男女とも洋式派が多数には違いないが、少数の和式派を切り捨てるわけにもいかない。そんなことから、道教委の関係者は「トイレ改修は『慎重に』に進める必要がある」と、話している。