痛風患者「ビールNG」 「焼酎ならOK」の非常識

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   「ビールを焼酎に変えたから大丈夫だ」。足の親指付け根などに激痛が走る痛風の予防対策で、こんな「常識」を耳にする。実際、似たような飲み方を実行している人も少なくない。「常識」は正しいのか。

「何かと飲む機会が多かったせいか、昨夜から痛風の症状が出てしまった」
「先週の日曜に痛風の発作を発症してから一週間。(略)お薬を飲んでいるので(略)症状はかなり痛みも無くなりました」

   いずれも2007年4月末のミクシィ(mixi)の書き込みだ。日本の痛風患者は、推定50~60万人。女性は数パーセントでほとんどは男性という。痛みの発作は出なくても、健康診断の際、「尿酸値が高いですね」と言われる「予備軍」は成人男性の約20%ともいわれる身近な問題だ。かつて50代だった発症年齢のピークは30代に移ってきている。

かつては、飲食物から取るプリン体量を制限していた

痛風への注意を呼びかける痛風研究会のHP
痛風への注意を呼びかける痛風研究会のHP

   「万力で締め付けられたように激烈で、大の大人が2、3日歩けなくなるほどの痛みです」。痛風に関する研究者への助成や医師らへの研修を行う「財団法人痛風研究会」(東京・港区)は、会のホームページで、痛風発作の痛みをこう説明している。痛みが起きる仕組みは、だれの体にも血液中に一定量含まれている尿酸とよばれる物質が、飽和濃度を超えると体に蓄積し結晶化、関節にたまってある日、激痛を生み出す。痛む関節は足の部分が多く、足の親指の付け根だけという訳ではない。

   尿酸は、肉や野菜といった食べ物に当たり前に含まれているプリン体が分解された「ごみ」みたいなものだ。プリン体は、体内でも新陳代謝や運動などに伴い毎日作り出され、尿酸に分解後、尿便などで排出される。「プリン環」という化学構造を持つ物質で遺伝子の構成物質の一部などがあてはまる。プリン体が増えて尿酸の「体内生産」が過剰になったり尿酸排出量が低下したりしてこのバランスが崩れると、尿酸の蓄積が始まる。

   痛風治療の「大御所」とされる御巫(みかなぎ)清允・自治医大名誉教授に話を聞いた。かつては、尿酸値が高めの人には、飲食物から取るプリン体量を制限すべきだ、と多くの医師が指導した時代があった。「レバーを食べながらビール、ではプリン体の取り過ぎ。やめましょう」と医師から聴かされた人は少なくない。痛風研究会のHPで紹介されている数値で見ると、100ミリリットル当たりのプリン体量は、ビールの場合、3.3~6.9ミリグラム。ウイスキー0.1ミリグラム、焼酎は0.0ミリグラムとある。「ビールを焼酎に変えたらOK」の「常識」はこのあたりの数値から生み出されたもののようだ。

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