「報道内容に問題はないと判断しています」
一方、07年5月3日付の朝日新聞は「透明性、高める努力必要」と題した速水徹・大阪本社スポーツエディターの記事を掲載している。それは次のようなものだ。
「憲章がなければ、今以上に混沌とした状態を招いていたと思う」
「憲章制定から半世紀以上の時が流れたが、その精神まで古びたとは思わない。ルール破りが横行する今の球界にあって、スポーツの原点である、フェアプレー精神をうたう憲章の気高さは、色あせていない。もちろん、通達を2度出しながら、これまで実態を把握してこなかった日本高野連の責任も重い。ただ、問題解決へ迅速に動いた姿勢は前向きに受け止めたい」
野球憲章を遵守する高野連の措置を前向きに捉えているという点で、朝日の記事はメディアの中では論調が異なっている。朝日新聞社は、全国高校野球選手権大会を高野連とともに主催しており、もともと両者はつながりが深い。
しかし、それだけではない。この記事を書いた速水大阪本社スポーツエディターは、なんと高野連の理事を務めていたのである。もちろん、記事にはそのことには一言も触れられていない。朝日新聞社広報部はJ-CASTニュースの取材に対し、書面で回答。
「弊社大阪本社スポーツエディターの速水徹は、日本高野連の理事を兼ねております。高野連は、様々な意見・助言を募って連盟の運営に役立てるため、弊社大阪本社スポーツエディターを理事として選任していると聞いています。これは、弊社の肩書きがスポーツエディターにかわる前の『運動部長』『スポーツ部長』の時代から続いているものです」
と述べている。いわば、高野連と一体ともいえる記者が、高野連の方針について報道することに問題はなかったのか。それについて同社は、
「ご指摘の5月3日付の記事は、速水が大阪本社スポーツエディターとして書いたものです。その中で『これまで実態を把握してこなかった日本高野連の責任も重い』と、その対応について明確に批判し、責任の重さを指摘しています。報道内容に問題はないと判断しています」
と述べており、あくまで「客観的で公正な報道」との見方は崩していない。