東京・お台場ビーチであったビーチバレーの国内ツアー第2戦東京オープンで2007年5月4日、禁止された一般参加者の写真撮影を巡りトラブルがあった。一部の報道では、男性が警察に「連行」される騒ぎになったそうだ。浅尾美和選手を中心とする女子ビーチバレーフィーバーぶりが背後にあるが、一般人の写真撮影はどこまでいけないことなのか。
ツアーを主催する日本ビーチバレー連盟は、今季から一般客の写真撮影を禁じた。選手の写真がネット上や雑誌などへ無断掲載されるのを防止、肖像権を守ることが主な目的だ。浅尾選手の人気加熱ぶりに警備員を昨年の2倍の約50人に増員して臨んだ。
騒動はテレビでも報じられた
スポーツニッポンの5月5日の報道によると、若い男性が複数の女子選手を撮影していた。大会関係者が見つけ画像の破棄を求めたが強く拒んだため、警察に連絡し男性は2人の警察官に「連行」された。最終的には破棄に応じた模様という。また、この騒動はテレビでも報じられた。
日本ビーチバレー連盟によると、「事件」の詳細な報告はまとまっていない。ただ、写真画像を破棄しない男性の対応を巡り警察を呼び、男性が警察官に付き添われ移動したことは把握している。報道機関などを除く一般の人の撮影を禁止したことは、立て看板や張り紙などで知らせ、会場に入る際に口頭で注意を呼びかけていた。
基本的には、撮影禁止の方針への自主的な協力を呼びかけるという立場で、「警察沙汰」になったことについては、「残念だ」としている。現地のやりとりの詳細は「不明」とした上で、男性が会場の中にいたのかどうか、もみあいになるなどしていないか、などについて情報収集する。
撮影を禁じるのは拡大解釈し過ぎ
インターネット犯罪などに詳しいジャーナリストの井上トシユキさんは、撮影を禁止すると映像の「お宝度」が上がり、撮影方法などが巧妙化し、いたちごっこになると指摘する。ネット利用者が若年層だけでなく大人層に広がったことで、従来のアイドルでは満足せず、女子スポーツ選手の映像に人気が集まっている側面があるという。選手や団体側に肌の露出度の検討などを求める一方で、ネット利用者へも好き勝手に映像利用をやりすぎると厳しい法律のしばりを呼ぶことになる、と自制を呼びかけている。
一方、知的所有権に詳しい松村信夫弁護士は、肖像権を中心とするパブリシティ権については、定義がはっきり定まっておらず、個人が撮影した映像をネット上で無償利用する場合、認められるかどうかは微妙な問題だ、という。しかし、利用されたサイトなどに対し削除を求めることはできても、撮影を禁じるのは拡大解釈し過ぎではと指摘する。屋内なら施設管理権としてフラッシュ撮影を禁止するなどは認められるが、屋外では理由を見つけるのが厳しい。倫理的な是非はともかく、法律的には任意で協力を求めるしかないのではという。
とすると、今回のケースもあくまで協力を求める、というのが基本だ。にもかかわらず、騒ぎになってしまった原因は何か。
あるビーチボール関係者は、肖像権の問題よりも「盗撮という性的目的の面がエスカレートするのが不安だ」ともらす。自身で見た訳ではないが、ネット上で女子選手の映像を卑猥に加工したものも流れている。何とか手を打ちたいとの空気が関係者内にあるという。