30歳前後で月給10万 どうやって食べていくんですか
――棗一郎弁護士インタビュー(上)

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好きこのんで非正規で不安定雇用を望む人がいるか

――若者が好きなときに働きたいということから「非正規」という選択を取っているという議論もありましたが。

誰が好きこのんで非正規で不安定雇用を望む人がいますか。文句を言えば、解雇されちゃうんですよ。賃金は安いし、社会保険も労働保険もない、いつ解雇されるかわからない。もちろん、プラプラしている人もいるでしょうけど、30歳前後にして月給10万でどうやって食べていくんですか、家族を作っていくんですか、また、結婚したり、家を手に入れたりるんですか。普通に考えればいるわけないじゃないですか。

――ほとんどの企業はバブル以来最高益を達成しているなか、どうして多くの企業は非正規雇用を多く導入し、偽装請負や偽装雇用などを止めないんでしょうか。

それは人件費コストを抑制したいからからだと思います。パートから正社員に引き上げる雇用政策をユニクロやイオンなど、一部の企業で導入しています。しかし、多くの企業は、すべての社員を正社員として抱え込むのは無理だと考えている。そこにあるのは、きちんと会社が雇用保証する一部のエリートと技術職を除いて、景気の変動や業績に応じて臨機応変に人を調整したいという、ストレートな願望ですよね。この流れは変わらないでしょうね。

――フリーターを含めた「非正規」のなかで苦しむ若者たち、彼らはどうしたら社会復帰できるのでしょうか。

偽装請負をしている人は、法的には、派遣として雇用しなければいけないので、適法に直させるように交渉すると言う方法があります。また、派遣も3年以上働かせている場合は直接雇用しなきゃいけない。(企業に)その申し入れをしていくと言うことでかなりの部分が救われると思います。業務請負も実質的な雇用関係にするなどの法的な解決の仕方がある。ただ、純粋な派遣社員や日々雇用派遣、短期細切れの派遣は難しいです。そこは、法的に規制するしかない。いまは、彼らを救う政策が求められています。

   ※資料「手で破れ」と命令され 5日間で腱鞘炎になる陰湿――棗一郎弁護士インタビュー(下)


棗一郎(なつめいちろう)プロフィール
長崎県出身。中央大学法学部法律学科卒業。1997年弁護士登録。日本労働弁護団事務局次長、日本弁護士連合会労働法制委員会事務局長次長。

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