米ワシントンが売春スキャンダルに揺れている。ランドール・トビアス国際援助庁(USAID)長官が高級売春組織の顧客だったと認め、辞任したのだ。この組織を運営したとして起訴された被告は、「『性的幻想』を提供したのであって『売春』ではない」なとど意味不明な主張を繰り広げつつ、法廷戦術として顧客リストをテレビ局に暴露、思わぬ「大物」の名前が飛び出しそうだ。
「マッサージを受けただけで、性行為はなかった」
現地メディアも、今回のスキャンダルを大きく報じている
発端は、2007年4月、検察当局が、「DCマダム」の通称で知られる、カリフォルニア州在住のデボラ・パルフリー被告を組織売春の罪などで起訴したことだ。1993年から06年までの13年間、「大学教育を2年以上受けた23歳以上の女性」の派遣を売り物に、約200万ドル(約2億4,000万円)以上を売り上げたとされる。
DCマダム側は容疑を否定した上、顧客の電話リストの一部をABCテレビに渡した。このリストをもとに同局は前出のトバイアス氏に取材、同氏は被告が運営する組織を数回利用したことを認めた。同氏は「マッサージを受けただけで、性行為はなかった」と主張してたが、「一身上の都合」を理由に、直後に辞任している。ブッシュ大統領が、同氏のアフリカでのマラリアとエイズ対策への功績をたたえた、わずか2日後のことだった。
リストの量は膨大、重さにして約20キロ
一方のDCマダムだが、「トバイアス氏が顧客だということを暴露したことは申し訳なかった」としながらも、「自分のビジネスが合法だと示すためには、そうする必要があった」とも釈明している。その「合法なビジネス」の中身だが、「『性的幻想』を提供した」と主張している。だが、「性的幻想」と「売春」とは何が違うのかは説明されていない。
DCマダムがABCに渡したリストの量は膨大で、重さにして46ポンド(約20キロ)。ABCによると、このリストにはブッシュ政権のエコノミスト、シンクタンクの首脳、軍首脳、政府高官などが含まれるという。
現地のタブロイド紙「ニューヨーク・ポスト」によると、5月4日には、ABCの報道番組「20/20」で、「爆弾レポート」が放送されるのだそうだ。次は、誰のクビが飛ぶのだろうか。