薄型テレビの価格が急速に下がり、32型地上デジタル液晶で税込み8万円を切るものまで出だした。家電量販店は、薄型テレビに興味のある家庭にはほとんど行き渡り、「持っていない人に対しては価格を下げなければ売れにくい」状態になったためと説明する。いったいどこまで下がるのか。
国内有名メーカーの32型新商品でも12万円程度
ソニーは「薄型テレビの低価格化には追従しない」と話す
東京新宿にある大手量販店を2007年5月2日の昼に巡ってみた。GW商戦で店内は客でごった返していたが、なぜかテレビ売り場はさほど混んでいなかった。最安値の薄型テレビの価格はどうかといえば、国内有名メーカーのもので32型の新商品が税込み149,800円。これに20%のポイントが付くため、結果的に120,000円程度の値段ということになる。
また、別の店舗では「展示品限り」ということで、26型が同103,000円。これにはポイントが付かない。さらに次の店舗に行ってみると、最新機種で26型が同168,000円。20型が118,000円だった。
しかし、この表示価格からさらに値下げになるということで、店員に聞いたところ、26型は124,000円、20型は84,000円になるという。しかも20%のポイントが付くのだ。またこの店には大手ではないメーカーの薄型テレビも売っていて、32型は79,800円という安さで、さらに5%のポイントが付く。1年前には考えられない値段だ。
J-CASTニュースが量販店の店員に「なぜこんなに安くなったのか」と聞くと、
「GW商戦ですから特別安くしているということもありますが、主なお客さんには薄型テレビが普及していて、そうでないお客さんには値段を下げなければなかなか売れない状況なんです」
という。つまり、以前から使っているブラウン管テレビで満足している人もいるわけで、そういう人や、テレビにおカネをかけたくない人に対しては、値段の安さで訴求しなければならない時代に入っているらしい。総務省が発表したデータを見ると、一般家庭への薄型テレビの普及率は07年3月末で29.4%になっている。
ソニーは「低価格化に追従しない」
07年4月30日付けの日本経済新聞は、薄型テレビの価格低下についてこう書いている。
「一年前に比べて(32型薄型テレビが)四割近く安い。3―4月発売の最新機種でさえ価格低下が目に付き、値下がりのタイミングも早まっている」
「大手量販店の担当者は『競合店対策として発売当初から、メーカー想定価格より1―2割安く設定することも増えた』と打ち明ける」
メーカーはどう考えているのか。J-CASTニュースの取材に対してソニー広報は、
「我々の認識ではこの1年で価格は20%から30%下がっています。しかし、エレクトロニクス関連商品は普及とともにこうして下がるのが一般的です。今後の1年でも同じように20%から30%下がるものと予想しています」
という。しかし、値下がりで業績に影響が出るのではないのか。ソニー広報は、
「低価格化に追従することはありません。利益をしっかりと上げる方向については、大型画面のもの、付加価値の高い機能などをつけ、新しい需要を作っていきます」
と話している。