「あまり田舎もんが東京のこと、えらそうに言わん方がいい」。石原慎太郎・東京都知事が2007年4月27日、定例記者会見の中でこう発言した。発端は、宮崎県の東国原英夫知事が自身のブログの中で4月9日に「東京の傲慢は復活した」などと書いたこと。宮崎県民の中には石原都知事の「田舎もの」発言に「県民の気持ちを逆なでするもの」と怒る人たちもいる。
東国原・宮崎県知事が問題のブログを書いたのは、石原都知事が3選を果たした直後。石原都知事の当選について触れ、「一体、東京はどこに行くのだろう?」などと長めの「分析」を載せていた。石原都知事も4月23日の会見のときは「何をもって傲慢というのか」という程度の軽い反応だった。
「保守という傲慢を東京都民が選んだ」
話題となることが多い東国原宮崎県知事のブログ
その後、東国原県知事はテレビ局などの取材に答え、「傲慢」とは石原都知事のことを指したことは一度もなく、「東京全体は変わらない方を選んだ。その保守という傲慢を東京都民が選んだ。保守はある意味傲慢です」などと話し、放送されるなどしている。「最初から最後まで(ブログを)読んでほしい」とも話している。
石原都知事は4月27日、記者から東国原県知事のブログ問題を再度問われると、「目の前で言ってみろ。俺の前で」とムッとした表情を浮かべた。東国原県知事の「弁明」について質問されると「余計なこと言わない方がいい。恥かくのそっちだから」「都民が保守的でありたい?いいものを残すのが保守で悪いものを直すのが改革でしょ。両方やってるじゃないですか」と反論、「あまり田舎もんが東京のことえらそうに言わん方がいい」と話した。
「(傲慢は都知事のことじゃなくてとか)そういう言い訳しなくてびしっと言えばいいんです」。こう東国原県知事を「援護射撃」したのは浅野史郎前宮城県知事。4月29日正午過ぎにテレビ朝日系列で放送された「サンデースクランブル」の中で、「私は石原さんが傲慢だと(都知事選に絡み)言っていた」とも話した。
番組では、浅野氏が東国原県知事とインタビューをした様子も録画放送された。録画インタビューの中で、石原都知事発言について聞かれると、東国原県知事は「けんかするつもりないんで」とさらりとかわした。
「田舎者発言」はいかがなものかという意見が大半
東国原県知事の5月1日夕現在の最新ブログは4月29日付け。サンデースクランブルの番組で浅野氏が宮崎を訪れたことに触れ、「知事としての苦悩・感動・難解・大変等について意識を共有できるのだ」などと書いている。石原都知事の「田舎者」発言については、同発言があった4月27日のブログも含め、一言も触れていない。
田舎者扱いされた宮崎県民の反応はどうか。
ニュースで石原発言を知って「県民の気持ちを逆なでするもの」と感じた、と話すのは、宮崎市内に住む宮崎日日新聞の元編集局長、田中亮二さん(72)。石原都知事が旧運輸相時代、「ブタ小屋、トリ小屋の間を(リニアモーターカーの宮崎県内の実験線が)走っており、日本の技術力を世界に示すにはふさわしくない」と発言した、としてニュースになった。石原氏は記者会見で謝罪したり、後に「言ってない。謝って損した」などと話したことが報じられた。石原発言は、一定の年代以上の人ならまたか、と不愉快に思うでしょう、という。東国原県知事のブログ内容は、全体を読めば都民は怒らないのでは、とかばう。
石原都知事に対しては、mixiでも「まぁそんな深い意味は無いにしろ、宮崎県民をバカにしてるようで、かなり腹が立つ!!」「都会の人って『田舎もんは~』だとか普通にそれ言う。ソレが大嫌い」とある。東京都庁には、「感覚的に」数十件の電話などがあったといい、内容は石原都知事の「田舎者発言」に対し、いかがなものかという意見が大半だった。もっとも、宮崎県庁へも「東京都民が選んだことに何か言われる筋合いはない」などの批判の声を中心に、都民と見られる人などから数十件程度の「抗議」が寄せられている。