日本初・民営刑務所 囚人が「ソフト開発」

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   運営の大半を民間企業が担当する、日本初の「民営刑務所」が山口県美祢市でオープンした。居室の窓には鉄格子の代わりに強化ガラスを採用したり、受刑者の居場所を探知するためのICタグを利用するなど、新しい試みに注目が集まっている。新型刑務所なだけあって、作業内容も斬新だ。ベンチャー企業が受刑者に、ソフトウェアの開発をさせるというのだ。

「セコム」などがつくる会社が建設から運営までを担う

刑務所では、民間企業に「安定した労働力の提供」ができるとアピール
刑務所では、民間企業に「安定した労働力の提供」ができるとアピール

   日本で初めて「民間資金を活用した社会資本整備(PFI)方式」を取り入れた刑務所「美祢社会復帰促進センター」が2007年4月1日、開所した。警備会社「セコム」などの企業グループがつくる特別目的会社「社会復帰サポート美祢」が建設から運営までを担う、いわば「民営刑務所」だ。刑務所の新設は1983年の北海道・月形刑務所以来24年ぶりで、初犯の男女各500人、計1,000人を収容する。

   この刑務所、運営形式以外にも、さまざまな新しい試みが行われている。例えば居室の窓に鉄格子はなく、強化ガラスが採用された。また、看守は原則として受刑者の移動に立ち会わないようにした代わりに、受刑者の上着にICタグをつけ、行動を把握できるようにした。

   これまでは、受刑者が行う労働といえば、木工・印刷・洋裁・農業など、昔ながらの技術を利用した作業が一般的だった。だが、今回オープンする刑務所では、刑務作業として、「ソフトウェア開発」も行われるというのだ。

受刑者にプログラミング言語の教育をする

   この計画を立ち上げたのは、刑務所まわりの業務に特化したベンチャー企業「プリズニーズ」で、07年5月1日に発表された。同社からSE(システムエンジニア)を2人送り込み、選抜された受刑者60人に対して4ヶ月にわたってプログラミング言語「ルビー(Ruby)」に関する教育を行う。
   今回は、出所後の就職率が特に低い女性受刑者のみが教育の対象だが、今後は男性受刑者への教育も予定しているという。教育終了後は、9月から10月をめどに実際のウェブサイトの開発に着手したい考えで、同社営業担当の飛田健さんは

「単なるECサイトではなく、ゲーム形式で楽しみながら、ポイントが貯まっていくような仕組みのサイトなどを考えています。これは自社で運営するサイトとして開発を進めますが、他社のサイト構築を請け負うことも目指しています」

と話す。
   なお、刑務所内での作業なので、いくらPCを使って作業をするとはいえども、インターネットには接続できないようになっている。

   プログラミング技術を身につけた受刑者が出所した際は、そのまま同社の社員として採用していきたい考えだ。

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