翼の生えた天使や悪魔、宇宙人風のファッションが人気
記者は方針を変更し、直接アパレル・ショップを訪ね歩くことにした。「Aloha Shirt(s)」で検 索してもヒットしないので、「clothing」などをキーワードに、客が多く、また販売点数の多い店を10軒以上訪れた。これらの店には、リアル店舗のような「店員」がいなかった。言わば服の「自動販売機」である。またウェブのように、一目で認識できる階層的なカテゴライズがされていない。だだっ広い店内をアバターが見て回るのは、それだけで骨が折れた。
ショップの展示やお客のファッションを観察すると、翼の生えた天使や悪魔から、サイバー、ゴス、クラブ系、超ミニスカ、宇宙人風などさまざま。傾向としては、やはりリアルライフでは着づらい衣装に人気が集まっている。
リアル時間で半日近く経過したが、目当てのアロハは見つからない。ここらが潮時かと考えはじめたころ、ふと思いついた。「Aloha shirts」ではなく、「Hawaiian shirts」で検索したらどうか。そして――Bentenにあるハワイアン・シャツの店「Robin Wood's AV Shop」を発見することができた。これまでの大規模ストアとは一変、個人商店の趣だ。数秒で店内を一周できる。
記者は黒をベースにハイビスカスをあしらった、アロハ風シャツを50L$(約22円)で購入した。買い物をする間、他の客の姿はなく、BGMもない店内には静かな時が流れていた。
苦労して手に入れた服を着た我が分身を見ると、意外なほどの満足感が胸を満たす。再びセカンドライフを歩き出すとき、心なしかアバターの足取りまで軽くなったように思えた。