総合取引所構想 日証協会長「机上の空論」と批判

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   日本証券業協会の安東俊夫会長が07年4月17日の記者会見で、経済財政諮問会議が提言した「総合取引所」の創設について「机上で考えると、取引所がまとまって 株や商品が取引できる方が効率的だと想像はできる。でも、それぞれの投資家が立ち止まって考えると、そうじゃない要因も出るだろう。米国など海外の先例も踏まえ、日本のメリット、デメリットを考えて進めてもらいたい」などと述べ、否定的な考えを示した。日証協会長が、政府の政策運営の指針となる経済財政諮問会議を真正面から批判するのは異例だ。今回の提言は証券業界や各取引所に「必要ないうえ、実現不可能」などと評判が悪く、「官僚らが頭で考えた机上の空論」(証券関係者)に冷水を浴びせた格好だ。

証券、金融先物、商品など取引所ごとのタテ割りをやめる

東証も「総合取引所」の構想には冷ややかな反応
東証も「総合取引所」の構想には冷ややかな反応

   この日、経済財政諮問会議は「家計金融資産1500兆円を成長力強化へ」と題する提言をまとめ、「ロンドン、ニューヨークに比肩する市場を構築する」ためには、「証券取引所、金融先物取引所、商品取引所などタテ割りになっている現在の形態を転換し、『総合取引所』を実現できるようにすべきだ」と指摘した。冒頭の安東会長の発言は、この提言の評価を聞かれたことに対するストレートな回答だ。

   一方、提言は「内外のプレイヤーを東京に集め、厚みのある市場を形成するため、銀行による優越的地位の濫用や利益相反の防止などの措置を講じたうえで、金融持ち株会社の下で、より多様な業務を行えるよう銀行と証券の垣根を見直すべきだ」とも指摘した。

   これについても、安東会長は「金融機関の国際競争力を高めるために、銀行と証券会社の垣根を低くした方がよいと言う人がいるが、金融資本による独占禁止法上の問題がある」と指摘。「ある会社がファイナンス(資金調達)をして、財務健全化のために借り入れを返済する場合、同じ系列の銀行と証券会社とならないようにする必要がある。この条件を満たせない限り、垣根論争を今もち出す必要はないのではないか」と切り捨てた。

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