アマゾンジャパンは2007年4月24日、自社サイト内に小売店が専用ページを持つことができる「マーチャント」サービスを始めた。決済システムなどを小売店に貸す法人向け「ショッピングモール」分野に参入したことになる。しかし、アマゾンは「既存の(楽天やYahoo!の)モールとは違う」と独自性を主張する。どこが違い、何を目指しているのか。
アマゾンが依頼した店に入ってもらう方式
アマゾンの「マーチャント」部門に参加した企業のページ。左上欄にAmazonの文字が見える。
4月25日のアマゾンのサイトに入る。画面右側の商品紹介欄に混じって、今回のサービスに参加した企業「リンベル」の紹介欄が見つかった。クリックすると、カタログギフトを扱うリンベルの専用ページに入り、洋皿などの写真画面が表示された。従来、アマゾンは自前で仕入れた商品のみ紹介していたが、今回は小売店欄が加わった形だ。
では、楽天などとはどこが違うのか。アマゾンによると、参加を希望する小売店が「軒先」を借りる形が楽天などの型とすると、アマゾンの今回の取り組みは、既存モールのように「参加したい企業にネット上の場所を貸す」だけではなくアマゾンが「厳選」して依頼した店に入ってもらう方式。アマゾンの自前商品と同列に検索や口コミサービスを利用できるようにする点が特徴だと説明する。楽天などが「集合型」で、アマゾンが「厳選型」という認識だ。
アマゾンジャパンによると、25日現在は数社でのスタートだが、近日中に約50社が出店する。スポーツ用品「マルイヴォイ」や園芸の日比谷花壇などで、これまで弱かった分野や参入していない分野を中心に展開するという。生花の扱いは初めてだ。「スポーツ&アウトドア」「エレクトロニクス」「ホーム&キッチン」「おもちゃ&ホビー」「ヘルス&ビューティー」「ビデオゲーム」「ソフトウェア」の分野で順次開店させる。分野も参加企業も増やす方針だ。
アマゾンは、販売場所と決済サービスなどを提供
アマゾンは、ネット上の販売場所と決済サービスなどを提供する。出店側は商品の発送や在庫管理をし、販売実績に応じた手数料をアマゾン側へ払う。同様の取り組みは米国をはじめ英、独に続くものだ。特に米国では「著しい成功を収めている」としている。
同社は2000年に書籍のオンライン販売を始めた。その後、DVDやおもちゃ、冷蔵庫などの家電も手がけ、2007年3月にはブランド時計販売にも分野を拡大した。12分野で1,000万点以上を扱うという。従来の自前販売の規模はどうするのか。アマゾンは「こちらも分野、扱い点数ともに拡大していく方針」と説明した。
同社は、日本の売上高は公表していない。世界中のアマゾンの連結売上高約1兆数千億円のうち、日本は10%以上を占めるとされる。1,000億円を超える計算になる。野村総研が2006年末に発表した電子商取引市場(企業対個人)の規模予測によると、06年度3兆8,200億円が、2007年度4兆4,200億円に増える。さらに2011年度には6兆4,300億円と06年度の約1.7倍にほぼ倍増する見込みだ。
迎え撃つ楽天、ヤフー側はどう対応するのか。うち1社の関係者はJ-CASTニュースの取材に対し「(全体の)市場の拡大につながると思っている」と感想を述べた。