統一地方選挙後半戦で、教え子を接待して票のとりまとめを依頼した疑いで、元教師の市議会議員が逮捕された。容疑者は、教員時代に武田鉄矢さんの教育実習を指導し、「金八先生のモデル」としても知られていた。それなら、よほどの「聖職者」なのかと思えば、議会では教育者にはあるまじき「セクハラ発言」の「前科」があった。
武田さんの「事実上の恩師」だった
糸井容疑者は議会の文教常任委員会に所属していた(市議会ウェブサイトより)
福岡県警は2007年4月24日、久留米市議の糸井清容疑者(72)とその妻(71)を公選法違反(供応買収)の疑いで逮捕した。同容疑者は罪を認めているという。実は同容疑者、テレビドラマ「金八先生」のモデルだと言われているのだ。それほどの人物が逮捕されたというのだから、事態は穏やかではない。
武田さんが在籍した福岡教育大学では、教育実習が必修となっていた。実習先の、同大附属久留米小学校のクラス担任が、糸井容疑者だった。つまり、武田さんの「事実上の恩師」だった訳だ。武田さん自身も04年、地元紙「西日本新聞」のインタビューで、糸井容疑者への思いを語っている。
「後にぼくはテレビドラマで『金八先生』を演じます。中学3年生の女生徒が妊娠するというショッキングな内容を扱ったとき、愛と性とはどういうものかを生徒に語りかけました。断片ではなく、深く本質に迫るものを伝えたいという思いの裏には、糸井先生の存在があったように思います。10年ほど前、糸井先生が校長を最後に退職されるときには、講演に駆けつけました」
これだけ見ると、教師としての糸井容疑者はまさに「聖職者」だが、03年に市議会議員に転身してからは、思わぬ別の顔を見せていた。
05年9月の議会での一般質問で、糸井容疑者は学校での体罰問題で校長が処分された問題に言及。自身が中学校の教頭を務めていたとき、キャンプで女湯をのぞいた男子生徒を女性教諭が約30分にわたって指導した例を紹介し、こんな風に批判した。
「男の心情を分かってない。男はくどくど言われるのが一番嫌。私だったらビンタ一発」
「女の子だって、見られたからって減るもんじゃない。バカから見られたと思えばいい。それを人権がなんだというから人間関係が悪くなる」
議場からは特に抗議の声はあがらなかったばかりか、拍手や笑いさえ起こったという。