盗難殺人まで起きた マニアに人気三菱ランエボって何

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   千葉県船橋市内で2007年4月15日深夜起きた車の盗難に絡み、引きとめようとした持ち主が殺された。この車は三菱の「ランサー エボリューション」(略してランエボ)。この車種を専門に扱う雑誌もあり、中古でも高値で売れるという。海外でも人気が高く、それに目をつけた犯行の可能性がある。隠れた「名車」の悲劇を追った。

元々ラリーのレース用に作られた車

ランサーエボリューションの専門誌が作るホームページ
ランサーエボリューションの専門誌が作るホームページ

   「ランエボっていうんだって??おいら車ってあんまりキョーミないんだよ」。4月17日に書き込みのあったあるブログはこう書き出した後、「でもこの車は大変人気があるそぉで・・・」などと、15日の事件を報じるニュースを引用しながら書き込んでいる。「今朝の情報番組でも(略)って言ってた」とテレビで見た情報として、この人気車種が高値で転売できるらしいという話に触れている。

   そんなに人気がある車なのか。ネットで「ランサーエボリューション マガジンWEB」というページを見つけた。雑誌としても季刊販売しており、4月で30号目を数える。編集部によると、「30歳代を中心としたマニアにとても人気がある車です」。テレビドラマ「電車男」に登場する人物も乗っていたことも有名な話だそうだ。ちなみにドラマの中でもこの車は盗難に会った。

   三菱自動車広報部によると、元々ラリーのレース用に作られた車で、1992年の一般発売以来、第9のタイプまで出ている。マイナーチェンジを含めれば14タイプ。しかも、通常2,3年に1度のところを毎年のように新しい型を出す。これがファンを喜ばせている。累計8万台近く売れ、「スポーツカータイプとしてはかなりの売り上げ」だそうだ。

中古市場が上昇する「珍事」が起きる

   中古車としても人気があるらしい。ガリバー自動車流通研究所によると、型によって値段は様々だが、2004年式のある型の場合、新車価格は400万円弱。05年には300万円前後で推移したのが、06年には下降気味となり270~280万円、これが2007年に入り、290万円に再上昇中という。中古価格が上昇するのはほとんど例がない。
   「外国、特にイギリスやニュージーランドの人気が、中古価格を支えている理由ではないか」とも分析する。ラリーや右ハンドル人気が背景にあるそうだ。

   もともと盗難車が輸出されることは珍しくない。日本中古車輸出業協同組合(東京)の関係者によると、乗用車やトラックにほぼ限定した盗難車数は、2004年約59,000台、05年約47,000台、06年約36,000台。この内、「70%以上は海外へ流れている」というのが通説だ。「ロシアかドバイ経緯でアフリカ、ヨーロッパへ」というルートがあるらしい。ただ、全体として減っているのは、盗難防止の「イモビライザー」がついていない高級車はヨーロッパでは「売れなく」なってきているためだそうだ。スポーツカーやワゴンタイプは季節変動はあるが一定の人気を誇っている。

   国内ではランエボは目立つため、盗難車が市場に出回ることは少ない。だとすれば、輸出用として盗まれた、と考えて不思議はない。
   千葉県警は4月16日、強盗殺人容疑で捜査本部を設置した。

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