東国原知事VS記者団 激烈バトルの一部始終

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   宮崎県の東国原英夫知事が、また記者団と対立している。定例記者会見の場で知事が「定例会見って必要ですか」と問いかけたことに記者団が「稚拙な質問」と反発。さらに、知事は発言内容が紙面に反映されないことに不満を持っているようで「会見内容を全部、2ページぐらい割いて載せてくれます?」と色をなす一幕もあった。知事は日記で「メディアはあそこ(声を荒げた場面)しか取り上げないだろう」と振り返っているが、知事が取り上げて欲しかった箇所とは、いったいどんな内容だったのだろうか。

「稚拙な質問だなという印象を持ちました」

日記では「メディアはあそこしか取り上げないだろう」と不満をこぼしていた
日記では「メディアはあそこしか取り上げないだろう」と不満をこぼしていた

   「バトル」の舞台は、2007年4月16日に開かれた定例会見。定例会見は、マスコミ13社が加盟する県政記者クラブの主催で、月に1~2回開かれているのだが、この日の会見の冒頭で、知事が

「定例会見って必要ですかね。ことさら特筆すべき発表がないときは、なくてもいいのでは」

と口火を切った。それに対して、記者から

「稚拙な質問だなという印象を持ちました」

との声が上がった。知事は

「稚拙だとは思っていません。ファンダメンタル(根本的な)な疑問」
「統一選や米軍再編に対する見解も、飽き飽きするほど言ってきた。今さら何を聞きたいのかな」

「2ページぐらい割いて載せてくれます?」

「あなたたちが聞きたいことが、必ずしも県民が聞きたい事だとは思わない」
「会見内容を全部、2ページぐらい割いて載せてくれます?」

などと、定例会見についての不満をぶちまけたが、結局は「必要ならやりましょう」と引き取り、結局約1時間にわたって会見は行われた。 知事は、自身の日記で当日の様子を振り返っており、記者団との応酬がニュースで大きく取り上げられたことに驚いた、とした上で、このように書いている。

「メディアはあそこしか取り上げないだろう」

「でも、メディアはあそこしか取り上げないだろう。その後、約1時間に渡り、記者達の質問にきちんと僕なりの見解を示したことはどこも報道しないだろう。記者さん達とは、20分くらいの議論になったのだが、普段の質疑応答より、知的レベルの高い彼等と、本質論での議論の方がより刺激的でより濃密で、面白かった」

「政治に対する最大の敵は無関心」

   確かに、東京で発行されている5大紙のうち3紙がこの話題を社会面で取り上げているが、いずれも、知事が会見の必要性に疑問を呈したことを報じるもので、会見の内容に踏み込んだ記事を見つけることはできなかった。宮崎県庁のウェブサイトで公開されている会見の動画を確認してみると、確かに知事が「きちんと僕なりの見解を示した」と主張しているとおり、色々なことを言っている。宮崎県の選挙体質について聞かれると、

「政治に対する最大の敵は無関心。これまでは有権者から『(選挙では)誰を選べばよかと?』との声が上がっていた」

と持論を展開したり、元自民党県連会長が公選法違反容疑で逮捕され、県議選で初当選した長男が公に姿を見せていないことについては

「何故堂々と出てこないのか、とは思う。連座制とかいう前に、ちゃんと説明すべき。定例記者会見じゃないですけど、そういう(不祥事の)時には率先して説明しないといけない」

とコメントしたほか、高速道路の建設について

「産業が増えないと物流は増えない。産業を発展させた結果高速も通る、というのが正しい時系列ではないか」

と述べるなど、話題は多岐にわたる。これらもちゃんと記事にして欲しい、ということのようだ。

「聞かれてないことまで答えてますから」

   ただ、会見の終わりに、記者から

「今回多岐な質問が出たかと思いますので、一記者としましては、定例記者会見のご意義とその可能性をご理解いただだいた上で、定例記者会見、改めて前向きに臨んでいただければ、一記者としては大変嬉しく思います」

との声が上がり、幹事社からも同様の発言があったが、知事は

「私は今日、ものすごい丁寧に答えてますよ。聞かれてないことまで答えてますから。一応それはお汲みとりください」

と、最後まで不機嫌そうだった。
   一方で、宮城県知事を12年間経験した浅野史郎・慶應義塾大学教授は、J-CASTニュースに対して、東国原知事とは逆に「定例会見は好きだった」と話す。

「私は、定例会見は好きでしたよ。『義務』ではなくて、色々なことが話せるという『権利ベース』で考えていました。東国原さんの場合は月1~2回とのことですが、自分は週1回でした。この週1回というペースは、自分で考えをまとめるのにも役立つ。1週間より前のことは覚えてられないし。(笑) 記者の取材にも、自分はニコニコしてましたよ」

浅野史郎氏、「定例会見が基本」というスタンスに立っていないと指摘

   さらに、定例会見の位置づけについて「良し悪しを言っている訳ではありませんが」と断りつつも、

「東国原さんの場合は、就任以来(鳥インフルエンザの問題などで)アドホックな(臨時の、その場限りの)会見が多く、『定例会見が本来の会見で、アドホックは例外』という原則が逆になっているのではないでしょうか」

と、東国原知事が「定例会見が基本」というスタンスに立っていないことを指摘。以下のようなアドバイスをしていた。

「何か聞かれたときは、『それは定例会見で言ったとおり』と言えば良いし、それが自分にとってやりやすかった。ちょっと今のような(アドホックがメインになっている)状況は続かない(もたない)のではないでしょうか」
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