「過去の失敗策を今風にアレンジしただけ」?
各販社・店舗には、それぞれが築いてきた売り方やCS向上策のノウハウ、代々受け継いできた取り組み方がある。ゾーンスーパーバイザーの指導によってその特性が薄まり、さらに店舗のプライドが低下して、販売力も下がることが危惧されている。
日産はかつて、80年代から90年代に国内営業部門に地域営業部制を導入し、指導の流れを縦型から横型へと変えた時期がある。結局うまくいかずに流れは縦型に戻ったわけだ。その頃を知る販社の幹部は、今回の制度を「過去の失敗策を今風にアレンジしただけ」と酷評する。当時失敗した一番の原因は、情報提供や指導を行う担当者の意識や能力と、販社に対する日産本社側の対応、さらに販社が抱いた変革に対する不安だ。
店舗の管理職は「日産は販売のノウハウを持っていないからゾーンスーパーバイザーを販社から登用する」とみる。国内販売体制の改革による第1号のゾーンスーパーバイザーたちは6月に東海地域で誕生する。ゾーンスーパーバイザー制度の成否は、プライドの高い店舗が納得できる人材を、日産がどれだけ集められるかにあるようだ。