ボクシングの亀田ファミリーが、またトラブルに見舞われている。日本ボクシングコミッション(JBC)のレフェリー、ジャッジなどで構成される「試合役員会」が、史郎氏の暴言に対して厳正な処分を求める要望書を送ったのだ。要望書では「史郎氏の謝罪がなければ、史郎氏がかかわる試合への役員派遣を拒否する」という厳しい内容だ。亀田ファミリーはいよいよピンチを迎えることになる。
暴言吐いた相手は「世界的権威」
各紙でも「要望書」の件を大きく取り上げている
要望書は2007年4月10日付け。問題とされているのは、07年3月24日に行われ、興毅選手がメキシコのエベラルド・モラレス選手に判定勝ちした試合。試合終了後に、史郎氏が試合役員の控え室で、浦谷信彰レフェリー(役員会会長)に対して抗議した内容が「暴言に終始し、恫喝や脅迫とも受け取れる」とされた。この要望書では、史郎氏のトレーナーのライセンス停止を含む処分を求め、史郎氏の謝罪がない場合は、史郎氏がかかわる試合には試合役員の派遣を行わない、などとしている。
「恫喝・脅迫」とされたのは、こんな内容だ。
史郎氏は、興毅選手が5Rに奪ったダウンをめぐって、浦谷氏に対して、ものすごい剣幕で
「なぜ5Rのダウンで止めない。亀田だけのルールをつくるな」
などと詰めより、関係者に制止されると
「今度はきちんとボクシングが分かる人間にやってもらう」
と、捨てゼリフを吐いたのだという。
ちなみに、史郎氏が暴言を吐いた相手の浦谷氏は、高校・大学とアマチュアボクシングを経験し、審判歴は約20年。これまで裁いた試合数は、レフェリー、ジャッジ合わせて約1万にのぼり、1994年の薬師寺-辰吉戦も担当した。世界ボクシング評議会(WBC)では同氏が裁いた試合を審判会議のビデオ教材にするなど、いわば「世界的権威」でもある。
「JBCに謝罪文を出すと思う」
06年8月に興毅選手がファン・ランダエタ選手(ベネズエラ)に勝利した際の、いわゆる「疑惑の判定」をめぐっても、同氏はJBC審判部長としてこう話し、判定への自信を見せている。
「(ジャッジが手心を加えることは)あり得ない。ジャッジの判断基準は、選手のパンチがどこにヒットしたかだけ。試合以外の何ものにも左右されない訓練をしている」(06年12月9日、東京新聞)
「因縁を付ける相手が悪かった」ということなのか、新聞各紙によると、協栄ボクシングジムの金平桂一郎会長は
「私から本人(史郎氏)に厳重注意をし、JBCに謝罪文を出すと思う」
と話したといい、穏健に事を収めたい考えのようだ。
その一方で、東京スポーツによると、史郎氏は要望書の件を聞かれて
「役員会?知らん、何も知らん。関係ない」
と述べるだけだったという。
このままでは騒動は簡単には収束しそうもない雰囲気だが、JBCは
「今のところ何も決まっていない」
としている。