介護のコムスン超悪質手口 「処分逃れ」何とかならないか

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   訪問介護最大手の「コムスン」(東京・港)が介護報酬を不正請求していた問題で、コムスンの処分逃れとも見えるやり口が批判を受けている。東京都は「指定取り消し」処分をする予定だったのに、先手をうたれて廃業届を出され、何もできなくなって歯ぎしりしている。

都の忠告無視して廃業届け出す

コムスン本社が入っている六本木ヒルズ
コムスン本社が入っている六本木ヒルズ

   東京都は2007年3月、コムスンが介護報酬約4,000万円を過大に請求していたと認定し、介護保険法に基づき同額の返還を求め、十分な人員を配置するよう改善勧告をした。実は都は、この「返還と勧告」ではなく、最も厳しい「指定取り消し」処分をする予定だったのだが、「直前に逃げられた」と見ている。なぜか。都福祉保健局に話を聞いた。J-CASTニュースの取材に対し、以下のようなからくりを明かした。

   情報を得てコムスンの検査を進めていた都は2007年2月、「不正があるという前提」で行う監査に入り、「銀座」など3事業所から事情聴取をした。不正が裏付けられたため、コムスンの樋口公一社長らに「監査結果を通知する」と予告、3月23日に都庁へ出向くよう伝えた。すると、コムスンは23日の当日の朝、事情聴取を受けた3事業所の廃業届を提出した。厳しい処分を予感してか、先手を打ったようにも見える。都側は「(廃業届提出は)社会から処分逃れと見られますよ」と指摘したが、樋口社長は「指定取り消しはあまりに重い十字架だ。どうしても出させてほしい」と提出を「強行」したという。

   「指定取り消し」ってそんなに重い処分なのだろうか。都によると、イメージの悪化だけでない影響が出る可能性があるという。悪質な事案の場合、問題となった事業所だけでなく、同じ会社のほかの事業所も指定取り消しをする「連座制」も適用できるという。

「会社ごと取り消しにできないのか」といった疑問

   こうした中で、「事業所でなく会社ごと取り消しにできないのか」といった疑問が、2ちゃんねるなどネット上で出ている。「連座制」は事業の種類ごとに適用するので「会社ごと」ではないが、例えば「訪問介護事業」など該当事業に限れば、ほぼ「会社ごと取り消し」のイメージになる処分は可能だ。ただ、今回は指定を取り消す対象が廃業でなくなってしまったので取り消しようがないという訳だ。

   「(監査結果の)認定時点にさかのぼって取り消し処分にすりゃあいいだろ」。こんな意見もある。ただ、取り消し処分の方針が固まっていたとしても、実際は、関係会社からの反論の聞き取りなどの手続きが残されており、「さかのぼ」って処分はできないそうだ。それでも都も、もどかしさは感じているようで、簡単にすぐに廃業できなくなるよう、近く国に対し法改正を求める方針という。

   肝心のコムスンはどう考えているのか。同社の親会社「グッドウィル・グループ」は、グループのホームページの広報情報欄に4月10日、「株式会社コムスンに対する改善勧告について」とする資料を公開した。「勧告を受けました事につきまして(略)心よりお詫び申し上げます」と冒頭で謝罪している。ただ、それに続く文章には都に「反論」しているようにも読める記述がある。

「申請から開始までに時間を要するので申請と実態に齟齬が生じることもあり遺憾」

   都は「そんな単純な過失ではない、という調査をした上での判断だ」と反論する。広報資料の「ビジネスモデル再構築のため、事業所の統廃合を進めている。今回指摘のあった事業所も統廃合予定に入っていた」についても「3事業所廃止の直前に別の事業所を廃止しているが、その時に利用者を問題の3事業所の内の1事業所へ振り分けている。廃止が前から決まっていたとは考えにくく、説明は不自然だ」とこれも納得していない様子だ。

   J-CASTニュースでは、同グループ広報IR部に聞いてみた。

「マスコミ各社の質問にはお答えできません。発表した資料以上のことはないので」

   東京都庁には4月に入って、コムスンに対する批判、苦情が殺到しているそうだ。

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