大阪では「東京はええでんな」
大阪タクシー協会(大阪市)によると、2005年秋にも一部の会社が値上げ申請をし、車両台数の70%超を目指したが、3カ月の有効期限内に55%前後の協力しか得られず、国土交通省の審査までたどりつかなかった過去がある。2万台を超えるタクシーが登録されており、最近数年で約3,000台は増えた。にもかかわらず、今回の申請を見送っているのは、2005年の二の舞になるのでは、と心配しているためだ。現在、中型初乗り(2キロ)660円だ。
「東京は値上げのマイナスが少なそうで、ええでんな」。こうぼやくのは、タクシー激戦区の一つ大阪府の業界関係者。ぼやきの原因は、「低料金で勝負する会社が申請に協力しない」からだそうだ。
「景気がよさそうな東京と違って、値上げによる客足の遠のきを心配する会社が多い」と背景を解説する。一方で「今のままやと運転手の生活を保障できん」と悲鳴を上げる社も少なくないという。燃料代高騰の影響も大だ。
今回申請中の地区の中での初乗り料金が最安値層の佐賀県は約74%が申請した。関係者は「景気がよくなるのかは分からないが、もう経営も運転手の生活も限界に近い」と見切り発車の申請であることを吐露した。