「くまぇり」の愛称でブログを立ち上げ、自身が犯した放火の写真を掲載していた平田恵里香被告(21)の獄中手記が、時事・メディア批評総合誌『創』の2007年5月号に掲載された。手記が書かれたのはこの事件の判決が下される3週間ほど前のこと。「一番楽しみたい20代を刑務所で過ごさないといけない」ことに打ちひしがれ、「本当人生終わりです」と述懐している。
『創』に掲載されたのは3ページにわたる「くまぇり」の手書きの手記。同誌によれば、それは07年3月14日消印のもので、赤裸々な彼女の心情が綴られている。
平田被告は06年7月8日、9件の放火の容疑で逮捕されている。彼女は「日本一の熊田曜子さんのソックリさんです」といい、自身が開設するブログで「くまぇり」と名乗っていた。逮捕されたのは、『SPA!』のグラビア撮影が行われた日。まさに、彼女が芸能界に足を踏み入れようとしたその矢先のことだった。結局、撮影されたグラビアは、「放火事件」と合わせて「ニュースコーナー」に掲載された。
自殺未遂を犯し、部屋がカメラで24時間監視されている
『創』に掲載された手記と平田被告(左下)
平田被告は手記の前半で、このように綴っている。
「『あなたにたいほ状が出てます』と言われたときは天と地が逆さになりました。さっきまで天だったのに・・・SPA!はまだ見てないんですよ。自分ののっているざっしやしんぶんも一回も見たことないんです。ダメなんですよ。留置所で新聞が切り取られていると『あ・自分のきじだな』って分かります(中略)マスコミ報道はおおげさにまたおもしろおかしく書くので私は大嫌いです。親もそのつど悲しんでいました」
また、事件については「本当にいたずらがエスカレートしてしまったとしか言いようがありません」「自分のわがままでこんなことになってしまった」ともいっている。
さらに、この手記のなかでは、平田被告が17歳からパニック障害を患っており、「17のときからふういんしてきた」発作が拘置所で再発し始めてしまったこと、自殺未遂を犯し、部屋がカメラで24時間監視されていることなどが、赤裸々に綴られている。
最後に彼女は、検察側が懲役13年を求刑したことに触れ、次のように述べている。
「今21才で、13年後は34。一番楽しみたい20代を刑務所で過ごさないといけない。なんかもう気がぬけて人生おわったと思っています。本当人生おわりです」
長野地裁は2007年4月9日、平田被告に対し懲役10年の判決を言い渡した。
「大胆不敵に見えるが、実際に会ってみるとおとなしい」
平田被告と手紙のやりとりをした『創』編集長の篠田博之編集長は、J-CASTニュースに対し次のように語る。
「今回の事件はブログというのがキーワードになっています。(ブログで)犯行を誇示して大胆不敵に見えるが、実際に会ってみるとおとなしい、というケースはよくあります。実際、彼女の場合もネットで大胆なことをした印象とは対照的におとなしい感じです。芸能志向があったといいますが、実際はそういった印象の子ではないんですよ。彼女はいじめの経験もあり、小・中学校と不登校だったこともあり、どこかで、なんとかそこから抜け出したいといった願望があったのではないでしょうか」
と語る。さらに、今回の事件を次のように評している。
「逃げ出したい、居場所がない、そういった感情があったのではないか。引きこもりやリストカットというのは、現代の女の子には結構あることです。今回の事件は、そのような女の子の姿を、異様なかたちであるが、一段面的に凝縮したものではないでしょうか」
『創』は次号でも「くまぇり」についての記事を掲載し、「いじめの話などを踏まえて、この事件の原因が何だったのかを究明したい」(篠田編集長)としている。