自動車用バイオ燃料巡る 政府VS石油連盟のゴタゴタ

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   自動車用バイオ燃料の販売がはじまる。バイオ燃料とは、植物などのバイオマス(生物資源)からつくられる燃料のことだが、国内では代替燃料であるエタノールが3%混入した「バイオガソリン」が試験的に販売される。しかし、このバイオ燃料の生産方式をめぐって、京都議定書を遵守したい政府とガソリンの質を確保したい石油連盟のゴタゴタが続いている。

バイオエタノールを直接混合する方式を政府は支持

バイオ燃料の販売が間もなく始まる(写真はイメージ)
バイオ燃料の販売が間もなく始まる(写真はイメージ)

   バイオ燃料の販売が2007年4月27日から、首都圏の50ヶ所の給油所で試験的に開始される。今回の発売では、トウモロコシやサトウキビなどの植物と石油製品を合成した「ETBE」をフランスから輸入し、新日本石油グループの根岸製油所でガソリンに混ぜて出荷する。「ETBE」が7%混合され、エタノールの混合率は3%になっている。試験販売は、ETBE配合の「バイオガソリン」の流通や給油所の地下タンクからの漏洩対策の確認などを主な目的にしている。

   心配されるのは、エンジントラブルだ。バイオ燃料に含まれるエタノールは、もともと水との相溶性があるため、水分を含んだガソリンが給油されれば、エンジントラブルやエンジンの腐食が発生する心配がある。石油連盟は今回販売されるETBE配合の「バイオガソリン」について、「エンジントラブルの可能性は全くない。レギュラーガソリンと同じように使える」(広報グループ)と胸を張る。同連盟によれば、日本自動車工業会との実証実験を既に済ませ、エンジントラブルの可能性がないことが確認されたという。

   しかし、政府は別の観点からETBE配合の「バイオガソリン」について否定的な見方だ。というのも、政府が定めた「京都議定書目標達成計画」では、2010年度までに原油50万キロ・リットル相当分を、バイオ燃料で賄うことを掲げており、ETBE配合「バイオガソリン」では、この4割程度の原油21万キロ・リットル相当しか達成できないからだ。そこで、環境省などは、バイオエタノールを直接ガソリンに混合する生産方式を進める準備のため、実証実験を沖縄県・宮古島などで開始している。

石油連盟は政府が進める方式の問題点を指摘

   しかし、これには「流通過程で水分が混入する危険性がある」として石油業界が反発している。石油連盟広報はJ-CASTニュースに対し、政府が進めようとする方式の問題点を次のように指摘する。

「ブラジルやアメリカでは、すでにこの方式で生産されたバイオ燃料を使っているが、生産が始まったのは1970年代。この方式だと、十分な設備を作ってやらないと、水分が混入してエンジントラブルが起こる危険がある。日本の消費者の要求度は高いので、しっかり体制を作らなくてはならない。(この方式で)やるのであれば2020~30年ぐらいを目処にすべきで、そうでないと消費者が不安を持つだろう」

   ETBE配合のバイオ燃料だと、最初からエタノールと石油製品を混合させてETBEを生成するため、ガソリンに混合させるための流通過程で水分を含んでしまう可能性は低い。

   しかし、環境省は、エタノールとガソリンを直接混合したバイオ燃料をつかった実証実験がうまく行っていることを挙げ「実験ではトラブルはなく、水分の混入によるエンジントラブルも聞いたことがない」と語り、問題がないことを強調し、この方式でもあくまで京都議定書を遵守したいとしている。

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