「発掘!あるある大事典Ⅱ」の捏造問題で、関西テレビ放送が検証番組「私たちは何を間違えたのか 検証・発掘!あるある大事典」を放送した。しかし、新聞やテレビなどは検証番組に対して総じて批判的な論調で、関テレやフジテレビにも視聴者から「(捏造した)製作スタッフの顔をなぜ映さなかったのか」といった苦情の電話やメールが殺到している。
将来の具体像がまったく見えてこない、という批判
関テレの「あるある」検証番組にも批判が相次ぐ
「頑張り方を間違えてしまった」――関西テレビが2007年4月3日夜に放送した検証番組のなかで、「あるある」の孫請け会社であるアジトの制作ディレクターはこのように述懐した。ただ、「あるある」の学者のコメントや実験データの捏造に手を染めたディレクターの顔は隠され、声も変えられていた。
さらに、関テレ矢野裕之チーフプロデューサーは、
「(「あるある」を批判する)本がでたり、ネットなどで正確性を問う声が高まっていることはに関しては認識していたが、正直、すべての否定的なな内容に関して対応を行っていなかったと思う。今から思えば、我々の出す情報は『正確』だという過信があった」
と「捏造問題」について語った。
「あるある」の番組制作スタッフや外部調査委員会の証言をもとに、捏造の原因を検証し、「新生関西テレビ」をアピールする試金石になるはずだった。しかし、これさえも、マスコミや視聴者などから不満が噴出している。
07年4月4日付けの日経新聞は、「新生関テレがどういう方向に向かうのか具体像がまったく見えてこなかった」とする青山学院大・大石泰彦教授の声を紹介。産経新聞でも、「日曜午後9時から放送すべき」(一橋大・堀部政男名誉教授)「スポンサーや視聴率の問題など現在のテレビメディアとそれを受け入れてきた社会全体に言及されていないのが残念だった」(BRC委員・ジャーナリスト、武田徹氏)との批判的なコメントが紹介された。
「顔隠し」は「本人の希望」
さらに、朝日新聞は、1面で検証番組について扱い、
「再生への一歩に何が肝心なのかの具体的な姿勢も示せないまま。千草氏は『再生のスタート』『新生関西テレビ』と番組や会見で強調したが、視聴者にとってその具体像を描きづらい内容だった」
と報じている。
しかし、こう感じたのはマスコミや専門家ばかりではなかった。
関西テレビ広報部によると、放送日の4月3日24時までに、電話で105件、メールで400件の問い合わせが寄せられた。その内容は、「検証番組に出演していた製作スタッフの顔をなぜ映さなかったのか」「千草社長が処分後も取締役に残るのは何故なのか」と言ったものが多かったという。
さらに、キー局のフジテレビでも同様に、視聴者からの不満がぶつけられた。同社広報部によれば、4月3日24時までに電話で240件、4日午前5時までにメールで94件の問い合わせが寄せられた。こちらには、「製作スタッフが顔を出さない」ことに加え、「フジテレビの責任」についての問い合わせが相次いだ。関テレと合計すると840件近い苦情などの問い合わせが殺到したことになる。
関西テレビ広報部はJ-CASTニュースに対し、「顔隠し」の理由についてこう説明する。
「本人の希望があり、家庭や私生活などのプライバシーをかんがみて、あのような形になった」