缶コーヒーや、ペットボトル入りお茶などの「激安自動販売機」が増えている。これまでは安くても「100円」という程度だったが、今や50円、ついには10円で売る自販機も登場している。なぜこんなに安いのか。
「これからも成長していくのは間違いない」
自販機にも「激安」の影が忍び寄る
激安自販機の「仕掛け人」とされるのが、京都市に本社のある自販機大手メーカーのフジタカだ。
「現在、『激安自販機』と呼ばれるものは全国で4万台ほどあります。当社のこの分野の業績もずっと右肩上がり。これからも成長していくのは間違いない」
と担当者はJ-CASTニュースの取材に答えた。
こうした、どのメーカーの飲料でも扱える自販機をつくるきっかけになったのが販売店側からの依頼。街では自販機が飽和状態になり、売り上げを伸ばすための策として、値段を自由に設定できる機械が提案されたのだ。
先の担当者は「価格は販売店が決めるもの」としながら、
「最安値は、缶コーヒー、ペットボトルで50円という例を知っています」
と明かす。なぜこんなに安く売れるのか。担当者はこう説明する。
「大量仕入れで値は安くなりますし、賞味期限が迫っているもの、デザイン変更したもの、在庫処分で放出されたものなどはかなり安く仕入れられます。また、人気の無い商品を赤字覚悟で安くして、他の商品で元を取るという戦略もありますね」
ネットショップには、飲料のディスカウント販売業者も多い。中には有名メーカーの缶コーヒーを1缶、30円台、40円台で売っているケースもある。ここから仕入れれば50円で売ることもできる。
キリンビバレッジ広報はJ-CASTニュースの取材に対し、あくまで一般論としながら、
「在庫調整は各メーカー共にやっていると思いますが、(過剰な)在庫が生じた場合、安く卸すこともあるでしょう。ただし、ネットなどに流出している商品は、メーカーからのものか、問屋のものか、(小売店の倒産などによる)何らかの原因のものか判断は難しい」
と話した。
1本150円のボトルコーヒーを25円で仕入れ
一方、読売新聞の「食の裏側」という連載に、「缶コーヒー10円。味も品質も変らないのに」(07年3月27日付け)という記事が掲載された。大阪市内の不動産業会社社長が設置している自販機10円で売っているのだという。社長は小売価格が150円するアルミ製ボトル入りコーヒーを1本25円で卸売業者から仕入れた。それがなぜ10円になったのか。安く仕入れることができたのは賞味期限が迫っていたからで、実は賞味期限6日前までは50円で売られていた。それが30円になり、期限切れまで残り2日でついに10円になったのだ。賞味期限を過ぎて売るわけにはいかないからだ。
読売新聞は記事の最後に「味も品質も変わらないのに。おかしな世の中だ」という不動産会社社長のコメントを載せている。
「10円コーヒー」でネット検索すると、この大阪の事例の他、「東千葉駅付近の自販機で売られていると」書いているブログがあった。こうした商法、全国的に広がっているのは間違いないようだ。
激安自販機って、何か問題にならないのだろうか。日本自動販売協会はJ-CASTニュースの取材にこう答えた。
「問題があると思いますよ。正常な競争にならないとも言えるわけですから。ただし、公正取引委員会がどう出るか、とういうのもあります。協会としては価格をこうしなさい、とは言えませんし、今は見守っているしかないんです」