探偵事務所のウェブサイトに掲載されている「作業実績」に、ある団体が噛みついた。「革命的非モテ同盟」という団体で、「バレンタイン粉砕」を掲げてデモ行進を行うなど、ユニークな活動を行っていることで知られている。「女性調査員による別離工作」が問題視されたのだ。
「ご依頼主のご希望で2人を別れさせました」
「非モテ同盟」のサイトでは、質問状の全文が公開されている。
京都市に本拠地を置く探偵事務所の「相沢京子 結婚調査室」では、結婚相手の身辺調査などを行っており、事例集をウェブで公開している。「週末は会えない婚約者の素行調査」「風俗好きの彼氏の素行調査」など、一言で「素行調査」と言っても、様々なパターンがあることがわかる。その中で問題視されたのが、「メールで知り合った娘の婚約者の身辺調査」という項目だ。
30歳の女性が、メールで知り合った35歳の男性と結婚しようとしていたところ、女性の父親(58)が、男性の身辺調査を依頼した、という事例だ。調査によると、男性の勤務態度は真面目で、金銭トラブルや女性問題もなかったという。ここまでは普通だが、以下の部分が「アキバ系」の人々の反発を呼んだ。
「かなりのアニメマニアのようで、軽度の少女愛好志向があるらしいことも判明しました。お嬢さまも相手の趣味は知っていたようで、犯罪性もないものと考えられましたが、ご依頼主のご希望から女性調査員による工作を行って2人を別れさせました」
3月23日には、情報サイト「にゅーあきばどっとこむ」がこれを
「アニメオタクだと恋愛結婚さえ邪魔されてしまうのか!」
というコメントとともに紹介、ネット上で波紋が広がった。
さらに、3月28日には、「革命的非モテ同盟」が、この探偵事務所に公開質問状を内容証明郵便で送付した。この「非モテ同盟」は、J-CASTニュースでも既報のとおり、「バレンタイン粉砕運動」などを行っていることで知られている。「AERA」の4月2日号でも、「ホワイトデー爆砕デモ」の様子が紹介されており、活動趣旨をこう話している。
「大変失礼な話。何が内容証明ですか!」
「マスメディアは恋愛していない奴は人間としての価値がないと言わんばかり。でもその恋愛は、実は商業的恋愛。恋愛の名で消費に追い立てることなんですよ」
質問状では、この事務所が行った別離工作は「全てのオタクに対する思想信条の自由を保障した基本的人権の侵害」だとした上で、
「個人の趣味嗜好による別離工作をすることは正当な行為であるとお考えですか?」
など6項目を質問しており、1週間以内の回答を求めている。
矛先を向けられた、相沢京子調査室にも話を聞いてみた。3月30日16時半ごろに話を聞いた時点では「ついさっき届いた」ということで、このように話していた。
「こんなの答える必要があるんですか?(質問状の差出人は)マトモな人だとは思っていません。何か言いたいのであれば(京都のオフィスまで)お越しになってみたらいかがでしょうか。こんなことは初めてです。大変失礼な話。何が内容証明ですか!」
かなりの憤慨ぶりだったが、その一方で、今回問題視されているウェブサイトの内容については把握していなかったようで、
「そんなことがウチのところに書いてあるんですか?これからきちんと確認します」
と話している。