新しい新聞と銘打った「SANKEI EXPRESS」が4月で創刊半年を迎える。木村拓哉さんを起用したテレビCM第2弾「7DAYS篇」も2007年3月29日から放映が始まった。宅配の朝刊紙でありながらタブロイド版を採用し、写真が映えるよう上質紙を使用、文字をヨコ組みにして左開きと、従来にない新聞のイメージで勝負している。平田篤州(ひらた・あつくに)編集長に読者の反応や抱負を聞いた。
「写真には気を遣っている」と平田篤州・SANKEI EXPRESS編集長
―― 木村拓哉さんを起用したテレビCMが話題です。
「SANKEI EXPRESS」は20~30歳代をターゲットに、ハイクオリティでコンパクト、アートな香りのする新聞づくりをしています。創刊時に木村拓哉さんをCMキャラクターに起用して、話題性やインパクトはかなりあったと思います。『SANKEI EXPRESSって何なんだろう』『どこに行ったら買えるのだろう』と受けとめていただき、手にとって試読してもらえれば購読してもらえる。そんな手応えがあって、自信にもつながってきました。現在、フリーダイヤルやWEBで申し込みできる7日間無料お試しキャンペーン(東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県限定)を実施中です。第2弾のCMで木村さんが『世界は変わる。新聞も変わる。若き新聞 SANKEI EXPRESS』と言っているように、読者をどんどん伸ばしていきたいと思っています」
―― 部数はいかがですか。
「試読紙なども含めて東西で約7万部です。08年3月末には10万部に増やしたいですね。ゼロからのスタートですから、気を引き締めながらも、満足しています。タブロイド版ということもあり、駅売りをしたらもっと売れるのでは、という声はあります。現在近畿地区だけですが、私としては、将来は首都圏の駅売りにも進出したい思いはあります。読者の方の要望も多く寄せられていますから」
―― 「月ぎめ1,680円(税込み)」という値段を読者はどのように見ているのでしょう。
「購読料の評価は、本当に人によって違いますね。最近は日本でも、欧米並みにフリーペーパーが広がって、定着してきました。フリーペーパーを好んで読む人は500円でも高いというし、一般紙を読みなれている人にとっては、一般紙とニュース量が変わらない内容で1,680円は、ものすごく安いという人もいます。新聞を読んでいない人、それに一般紙の読者層を合わせると、非常に大きなマーケットが広がっていますから、購読部数の増加も大いに期待できるのではないでしょうか」
―― どのあたりを訴えていきますか。
「とにかく見た目が新しいことはプラスですね。都会型の新聞として、多忙で時間のない方に読んでいただきたい。そんな思いから、コンパクトなタブロイド版にして、文字はヨコ組み。『若き新聞』のキャッチコピーにふさわしいように上質紙を使用しているので、とてもキレイです。日々のニュースをとりあげた16ページと、ART CAFÉ面と呼んでいる、芸術やエンターテイメントにしぼった16ページの2部構成にして、中面の『ART CAFÉ面』を引き抜いて読めるように工夫しています。たとえば、『アート』面は家に置いて仕事から帰ってからじっくりと。ニュース面は出勤途中の電車の中で目を通すことができます。なかなか便利ですよ」
―― カラー面が多く、写真を大きく扱っていますね。
「近畿地区はオールカラー面。写真の使い方にはとても気を遣っています。EXPRESSでは、産経新聞の写真報道局がもち込んでくる写真のほかに、外部から配信される写真も使っています。写真は『選ぶ』のが大事です。産経新聞とは違ったアングルのものを見つけることもしばしばあります。わたしは毎日、約2,700枚もの写真を見ています。それも2時間のうちに。1日の仕事としては一番密度が濃いといえるかもしれません。写真は、本来であれば同じ人が24時間でも、ずっと見ているのがいい。そこまではできませんが(笑い)。編集長がどっかり座って、『スタッフにまかせる』というのはダメなんです」
(<下>に続く)
【平田篤州(ひらた・あつくに)氏プロフィール】
1975年4月産経新聞社入社後、東京本社政治部次長、論説委員、編集局次長兼社会部長を歴任し、2004年には日本工業新聞社へ。完全子会社化して、「日本工業新聞」の「フジサンケイビジネスアイ」へのリニューアル創刊を手がける。1951年生まれ。