テレビ国際放送も新たに「命令」可能に
だが、菅総務相は、「命ずることができる」という条文を「要請することができる」と変えて「命令」の言葉をなくす一方、「総務大臣から要請があれば、これに応じるよう努める」との文言を加えることにした。「命令という表現がきついから、言葉を変えるだけ」(自民党筋)との批判もあったが、菅総務相が押し切る形で、NHKへの努力義務を定めることで決着した。
また、総務省は今回初めて、テレビ国際放送にも放送命令を適用することにした。2007年度政府予算案に、テレビ国際放送への国の交付金3億円が盛り込まれており、この予算が成立すれば命令が可能となった。ただし、テレビへの命令内容は「国の重要な政策」といった大まかなものにとどめ、短波ラジオ国際放送のように拉致問題を具体的に指定はしない方針だ。
羽鳥・電波監理審議会会長は「ラジオ国際放送とは事情が違う。直接北朝鮮にいる拉致被害者にテレビ国際放送はまず届かないだろう」と話し、北朝鮮の拉致被害者が衛星放送を受信できる環境にないことをが、拉致問題を盛り込まない理由だとしている。