サイバーエージェント藤田晋社長が、ブログ「渋谷で働く社長のアメブロ」の2007年3月21日付に、「東証から方針が出れば、即座に東証1部か2部への鞍替えを検討します」と書いている。同社はマザーズに上場していて、これまで東証1部か2部への鞍替えを否定していた。この心変わりはどうしてなのか。
鞍替えの理由は「市場の考え方に従う」
マザーズに残るのは「負け組」??
ブログにはこう書かれている。
「東証の懇談会で、『マザーズ上場企業は一定期間が過ぎたら、1部か2部に鞍替えすることが望ましい』という考えが出ているらしい。往来(原文通り)当社は、『当社は今後も大きな成長を目論む会社であり、イメージ的にも、株主構成的にも、マザーズに上場しているべき』という考えから、1部や2部への鞍替えを否定してきました。まだ検討段階のようですが、実際に東証から方針が出れば、当然市場の考え方に従うべき。即座に東証1部か2部への鞍替えを検討します」
ブログには、1部か2部への鞍替えの理由を「市場の考え方に従う」としか書いていない。藤田社長がマザーズへのこだわりを捨てたのはなぜなのか。
J-CASTニュースが東証に取材したところ、「マザーズ上場企業の鞍替え」という意見は、有識者による上場制度整備懇談会の中で出たのだという。議題としては、成長した新興企業を鞍替えさせることではなく、「成長できずにいる上場企業を今後どう扱うかで話し合われた」ということだそうだ。
株価軟調のマザーズ市場が活性化する
もともとマザーズは、高い成長性が見込める新興企業を上場の対象にし、上場後、5年~10年経てば次のステップとして1部か2部へ鞍替えさせようという青写真があった。マザーズ市場は現在、活気に欠けている。その活性化策を探った結果、
「成長した企業を1部か2部に鞍替えさせ、その空いた部分に新しい企業を上場させる。そういう新陳代謝を行うことで、株価軟調のマザーズ市場が活性化するのではないか、そんな意見が出たのです」
と、東証の担当者は打ち明けた。
つまり、懇談会での提案が実施されれば、マザーズに残るのは「負け組」とも捉えられかねない。だから藤田社長は、「負け組」というイメージダウンを避けるためにマザーズへのこだわりを捨てたのだ、と考えられる。