東京都知事選は告示を間近に控え、一通り役者がそろった。そんな中でも、石原知事の「親友」の黒川紀章氏は「社会主義的な思想を広めたい」「投票日はパリにいる」と言った浮世離れした発言を続けており、スポーツ紙や夕刊紙に格好の「ネタ」を提供している。
現職の石原慎太郎氏と浅野史郎氏との一騎打ちが有力視される中、共産党が推薦する吉田万三氏も出馬を表明、さらに3月18日から19日にかけてタレントの桜金造氏と発明家のドクター中松こと中松義郎氏が相次いで出馬の意向を表明、役者は出そろった格好だ。
後方部分がガラス張りの選挙カーをすでに発注
一連の発言が、夕刊紙やスポーツ紙のネタにされている
その中でも、特に異彩を放っているのが、建築家の黒川紀章氏。2月22日の出馬表明の会見では「都庁を民間に売却する」などのユニークな公約を発表しつつ、こんなエキセントリックとも取れる発言が続いた。
「ボクは政治家にはならない」
「ホクは、いまだに社会主義に対する幻影がある。具体的に支援しているのは、中国。ロシアは本気で亡命しようとしたこともあったけど、ちょっと良くないな」
2月24日付けの「日刊ゲンダイ」によると、会見に参加した報道陣からは「世界的建築家なのに支離滅裂」と、失笑が絶えなかったという。
3月3日に行われた建築や都市計画に関するシンポジウムでは「私は都知事はいらないと思うんです」と発言、周囲を驚かせた。3月15日に開かれた公開討論会でも、まちづくりについて話を振られると、
「霞が関を首都移転で空洞にし、議員宿舎並みの(低)価格で入れる庶民住宅を造る」
というアイディアを披露、それに対して石原氏は
「言うことが理解できず、トンチンカン」
と、あきれてしまった。
さらに、翌3月16日の「スポーツ報知」によると、黒川氏陣営では後方部分がガラス張りの選挙カーをすでに発注しているほか、自ら所有する船を操縦しながら神田川で名曲『神田川』を熱唱し、選挙最終日には飛行船から大量の桜吹雪をまく、といった選挙活動を計画しているという。「陸・海・空」をすべて制覇するという壮大なプロジェクトだ。