「先行されたので書かざるを得ない」と読売記者
東証幹部が日経の取材に「日興の財務責任者が不正会計に関与しているなら十分に組織的」として「上場廃止基準に抵触かる可能性を指摘した」という点についても、西室社長は
「私どももそれを見てびっくりしました。東証幹部の範囲を少し広めにとって全員に聴取をし、全員がそのような回答をした覚えはないと、はっきりと言っております」
と、不快感を示した。
参院財政金融委の質疑のやり取りは、参院のホームページで議事録や動画が公開されている。その中で面白い一例を挙げれば、日経、朝日に先行報道された読売の記者が「上場廃止と書かざるを得ない」と西室社長に「通告」に来たという場面だ。
西室社長は
「前の日に読売新聞の記者が来て、『他の主要2社が書いてしまったから、書かざるを得ない』と通告に来たので、我々はまったく決めてないのに何でそんなことをするんですか。新聞社の今の報道の仕方とはそういうものなのかと、お説教をしたにもかかわらず、お書きいただいたということを、敢えて申し上げます」
と発言。国会で東証の社長がここまで報道の舞台裏を暴露するのも珍しい。
激しい報道合戦に「勇み足」はつきものという意識が抜けきれないマスコミには、07年1月の日銀の利上げ予測報道(実際は利上げ見送り)と併せ、大きな反省材料になるのは間違いない。