頭取の仕掛けが失敗した初のケース
ところが、思惑はもろくも崩れた。シティと日興の提携契約は厳しく、シティの了解なしで他社との提携が出来ないなど、事実上の優先交渉権が設けられていた。上場廃止を恐れていた日興がシティに駆け込んだからだ。
みずほの出資比率引き上げは、上場が維持されることを前提としており、東証の判断が出る3月半ばまで対応を見守る構えだった。しかし、シティは3月6日、上場廃止の場合も織り込んだうえで株式公開買い付け(TOB)の意向と価格を表明。その素早い動きに対し、みずほCBの持ち株会社であるみずほフィナンシャルグループからは「勝てない勝負をする意味はない」との声が早々と漏れた。みずほCB内でも「シティと敵対することはできない」との声が強まり、斎藤頭取の狙いはとん挫。「頭取の仕掛けが失敗した初のケース」(みずほ幹部)とささやかれる。
もともと、斎藤頭取の剛腕ぶりに批判的だった他の金融関係者からは「誰が鞍馬天狗なのか。自分で言わせているんじゃないか」(大手証券)との声も聞こえる。「財界の鞍馬天狗」と呼ばれた故中山素平・旧興銀会長に並ぶには、まだ時間がかかりそうだ。