「平成の鞍馬天狗」とも称される、みずほコーポレート銀行(CB)の斎藤宏頭取の鼻が折れかけている。2005年の楽天・TBSの攻防で仲介役を果たし、水産最大手、マルハグループ本社と業界3位、ニチロの06年の経営統合、みずほフィナンシャルグループ傘下のみずほ証券と新光証券の経営統合発表を相次いで仕上げたところまでは面目躍如。ところが、不正会計問題が発生した日興コーディアルグループの争奪戦で、米金融大手のシティーグループの出方を見誤って出遅れたほか、仲介したはずの楽天・TBSの攻防も再燃しつつあるなど、その威光に陰りもみられる。
野村証券に匹敵する証券会社の設立が悲願
みずほCB頭取の鼻が折れかかっている
日興が06年、不正会計を公表した直後から、斎藤頭取は日興を取りに動いた。もともと予定していた自社グループのみずほ証券と新光証券の経営統合準備を前倒しし、2008年1月の統合を1年前に発表した。旧日本興業銀行出身の斎藤頭取は、旧興銀の復興に野心を燃やしている。特に証券については、旧興銀証券を抱えた全盛期への思いから、野村証券に匹敵する証券会社の設立が悲願とされる。「みずほ証券と新光証券の合併は、日興の不正会計が見つかった直後から発案した受け皿構想」(みずほ関係者)という。
斎藤頭取は2月上旬に大手紙のインタビューに相次いで登場し、東証の上場廃止の是非の判断を待って日興と提携する思いを隠そうとしなかった。みずほはグループ全体で、日興の発行済み株式の5.91%を保有し、さらなる出資比率の引き上げなどの意向を水面下で伝えていた。一方のシティは4.94%を保有していた。みずほは、日興が独立性を保ちつつ信用補完するには、みずほとシティ両方の出資比率を同程度上げるとの見立てを持っていた模様だ。