ヤマダ電機記事巡る 読売VS週刊文春「戦争」

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   読売新聞が、広告主のヤマダ電機の「強い申し入れ」に屈し、ヤマダ電機を追求する一連の記事を削除した、と「週刊文春」が報じたことについて、読売新聞側は記事の取消しと謝罪を求めた。しかし、「週刊文春」は翌2007年3月22日号で、再び「読売新聞の嘘『ヤマダ電機追及キャンペーン中止』の動かぬ証拠」という記事を掲載する。文春と読売新聞は一歩も譲らず、戦争状態だ。

「ヤマダ電機からの強い申し入れがあったのです」

「週刊文春」は2週連続で読売新聞を攻撃している
「週刊文春」は2週連続で読売新聞を攻撃している

   事の始まりは「週刊文春」07年3月15日号の「読売新聞が突如『ヤマダ電機追求キャンペーン』をやめたワケ」。読売新聞大阪本社記者の告発の形で記事は書き進められている。それによると、読売新聞は07年1月23日付けから「ヤマダ電機 職安法違反の疑い」と題してヤマダ電機を追及する連載を始めた。なんば駅前の「LABI1(ラビワン)なんば」のヤマダ電気店で、「ヘルパー」と呼ばれる販売員約60人に対し、違法な業務の指示・命令を行っていた、という内容だ。職安法ではヘルパーを社員のように扱うことを禁じているが、同店では社員並みに管理し、また、社員がすべき仕事もさせていたことなどが書かれている。

   この記事が好評で07年1月27日以降も連載が続くはずだったが、突然中止になったのだという。なぜなのか。「週刊文春」は、読売関係者のコメントを載せている。

「ヤマダ電機からの強い申し入れがあったのです(中略)折り込み広告を入れていますが、これが膨大な金額(中略)。中止の要請は東京から来たようです。老川大阪本社社長は、社内で、『東京が言ってるから仕方ないだろう』と話していた」

   さらに、ヤマダ電機の経営企画室が「申し入れをして、事実誤認や取材方法に問題があることを指摘しました」とコメントとしたことで、「読売新聞はヤマダ電機の圧力に屈した」としている。
   この記事に対して、読売新聞が抗議。07年3月9日の朝刊に「文春側からの取材に『指摘されるような事実は全くない』と回答したにもかかわらず、記事が掲載されており、抗議書では記事の取り消しと謝罪、文書での回答を求めている」という記事を掲載した。

ヤマダ電機は「沈黙しかできない」

   しかし文春は、07年3月22日号で再び「動かぬ証拠がある」との記事を掲載。読売関係者の話として、

「植松実・大阪本社社会部長が取材班を集め、『一企業の圧力で記事が潰されたのは大阪社会部始まって以来の出来事だ』と、ヤマダ電機からの圧力を認めた上で、責任者として取材班に謝罪したそうです」

と書き、さらに決定的な証拠として「読売は回答文の中で『新たな(ヤマダ電機追求の)シリーズの掲載が中止になった事実は無い』と主張するが、これが嘘であることを示す極め付きの証拠がある」とした。それが07年1月27日付の朝刊の12版。文春は「長野県で宅配された12版を入手した」と書いている。そこにはこんな見出しが出ているのだという。「メーカー派遣『ヘルパー』全国でノルマ設定 ヤマダ電機」。朝刊の紙面は12版から14版まであり、13版以降この記事は削除されたというのだ。
   さて、どちらの言い分が正しいのか。読売新聞大阪本社広報宣伝部はJ-CASTニュースの取材に対し、

「週刊文春の本件記事は事実ではなく、読売新聞の名誉、信用を著しく毀損し、社会的評価をおとしめるもので、本社は文芸春秋に対し、記事の取消し、謝罪を要求しています」

   そして、

「ヤマダ電機から本社に対し、記事掲載取りやめの申し入れや広告取りやめの申し入れはなく、本社が圧力によって記事を削除したり、報道すべき記事を取りやめたりしたことはありません。読売新聞は、報道すべき事実を公正に報道しており、週刊文春の記事は事実ではありません」

とコメントした。
   文芸春秋の法務広報部は、読売新聞の抗議に対し、J-CASTニュースに、

「週刊文春は、あれほど様々な証拠を集めているから(記事内容が正しいのは)当然のこと」
と自信を見せた。一方のヤマダ電機は、
「この件に関してはコメントできない。沈黙しかできない」

と話している。

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