東国原英夫・宮崎県知事が2007年3月14日、東京・有楽町の外国特派員協会で講演を行った。スピーチ時間の大半を自らの生い立ちについての漫談に費やした。「一番かっこ良かったこと」として、「フライデー編集部襲撃事件」について触れ、「20年たっても講談社に狙われている」とジョークを飛ばし、会場を沸かせた。
シュワルツェネッガーでなくレーガン元大統領と比べられたい
今日の講演は「まぁ50点ぐらい」と東国原知事
「あ、あ、あ。It’s fine today.(本日は晴天なり)」
という第一声に続き、
「お招きいただいて非常に光栄。質疑応答では、週刊誌やワイドショーのレポーターみたいに、シビアな質問や間抜けな質問はやめてください。私のことをアーノルド・シュワルツェネッガー氏と比べる人がいて、これは光栄なことなのですが、むしろ、ロナルド・レーガン元大統領と比べられたいです」
と英語で挨拶、会場の記者の笑いを誘った。
それ以降は日本語で、小学生の時、文集に「将来は政治家とお笑い芸人になりたい」と書いたのをきっかけに、芸人への夢を持ち続けてビートたけし氏に弟子入りするまでの経緯を紹介、「その(たけし氏のもとでの)学びが(今の)原点になっている」などと話した。
たけし氏の「一番かっこ良かったこと」として、1986年の「フライデー編集部襲撃事件」についても触れ、フライデーを発行している講談社発行の「週刊現代」が日本テレビ女性記者による「知事宅お泊まり騒動」の記事を毎週掲載していることを念頭に、
「あれから20年たっても、まだ私は講談社に狙われている」
と、ジョークを飛ばした。
「地方自治に政党は要らない」
その一方で、
「この事件には社会的意義もあった。当時は、知的所有権や肖像権に対する認識が甘かった。裁判に勝ったとしても、(雑誌に載った)ダメージの方が大きい。そこで、ウチの師匠は実力行使に出たんです。これもどうかと思うんですけれど…」
と、事件を振り返った。
このあたりでスタッフから「質疑応答に移るようにとの」指示が出て、政治家を目指した経緯については十分話すことができず、「時間切れ」に。
一方、質疑応答では、政治家としての発言もきちんと聞くことができ、
「地方自治に政党は要らない。ひとつの『県民党』があればよい」
「中央集権はいらない」
など、リベラルな面を見せた。いわゆる従軍慰安婦問題については、「歴史認証が前提。そうでないと、議論が発展しない」と、事実関係がはっきりしないとコメントできないとの立場を示した。
なお、同協会では、ゲストスピーカーと記者は記者会見場で昼食を取った後に会見に臨む、というしきたりになっているが、そこでふるまわれたのは宮崎県産の地鶏。宮崎県のPRも忘れなかった。だが、講演後の囲み取材では、
「宮崎がきちんとPRできたかどうかは疑問が残るので、(講演は)まぁ50点ぐらい」
と、反省の弁を述べてもいた。