「(米国からすると)日本は非協力的に見える」
政府が言うように、この批判が「事実に基づいたものなのか」は議論があるが、「集中砲火」状態なのは間違いない。
この背景について、07年3月11日朝に放送されたフジテレビ系列の情報番組「報道2001」で、コロンビア大学のジェラルド・カーティス教授は、このように述べている。
「(安倍首相の発言が)何となく弁明したがっている、という印象を(米国側に)与えている」
この点については、日本側も反論している。在米ロサンゼルス日本総領事館の兒玉和夫総領事は「日本は罪を償って生きている」いうタイトルの反論記事をロサンゼルス・タイムズ紙に寄稿、11日付けで掲載されている。記事中では、93年のいわゆる「河野談話」に加えて、95年に「アジア女性基金」を設立し「償い金」を提供するなどの対応を行っており、従来の政府方針を安倍首相も踏襲していることを強調している。
だが、同教授は、この問題には別の背景がある、とも解説している。
「(『拉致問題が第一』という)感情と外交戦略は別。核を(北朝鮮に)放棄させることが一番大事、という考え方がある」
「(米国からすると)日本は非協力的に見える」
と、6ヶ国協議の参加国間で、何を扱うかの優先順位に差がある、つまり、日本以外は「核が最優先」だと考えているのに対して、日本だけが「拉致問題」を最優先だと主張していることが問題の発端だ、と示唆したのだ。
米タイム誌は3月8日、ズバリこの点を指摘しており、安倍首相が北朝鮮に譲歩しなければ「北朝鮮への積極対応に転じた同盟国・米国との歩調にも乱れが生じる」とし指摘している。
3月19日からは第6回6ヶ国協議が始まる。日本はどうするか難しい選択を迫られる。