オウム真理教(現・アーレフ)の上祐史浩前代表(44)が教団から脱会する、と発表されたのは2007年3月8日だが、その一日前に実は「ミクシィ」(mixi)に入会していた。07年3月7日から日記を書き始め、mixi内に自ら「上祐史浩 新団体コミュニティ」を立ち上げた。コミュには現在600人ほどのメンバーが集まっていて、「2ちゃんねる」では「祭り」が始まっている。
07年3月7日のmixiの日記に上祐前代表は、
「このたび、ミクシィをはじめました。まもなく、私は、アーレフを脱会します」
という書き出しで、これからmixiを通じて、自身の事や、これから設立する宗教団体について伝え、意見も聞きたいと綴っている。日記は毎日更新されていて、一日に3本アップした日もある。内容は新団体を創ろうと思った理由や、記者会見についてなど。07年3月12日の日記は「なぜ、私がミクシィを始めたか?」についてだった。
「布教活動」の一環であることを認める
上祐氏、ミクシィで布教活動?!
「始めたきっかけは、友人がミクシィをやっていて紹介してくれたからです」。そして、新団体を立ち上げるスケジュールを組んだ時から、団体以外の人に意見を聞き、設立の参考にしたかった、としている。mixi を利用した勧誘・布教については、
「自分としては、オウム・アーレフ時代とは違って、カルト教団型の勧誘・布教をすることはない、ということを強調したい、と思います」
としている。
ただ、
「これが布教の一環になるとしても、(自分自身としては、布教という印象はなく、批判に対する説明責任の履行ばかりだと思いますが)、それは、相手に自分が何者かを知らせずに勧誘する『カルト型布教』では全くなく、いわゆる、『完全公開型布教』、『身をさらした布教』となっている」
と、結局は「布教活動」の一環であることを認めていて、
「ミクシィを通じて、私や私の新団体のサイトに来られて、サイトを通じて、たくさんのことが学べる、という新団体にしたいと思います(中略)単に教義を知るだけでなく、自分の説法のビデオをネットで見てもらうとか(ユーチューブとか)、ヨーガの修行法をネット習えるようにするとか、教団で作った音楽も聴いてもらえます(中略)これが21世紀の団体だと感じています」
など、上祐前代表は「ミクシィ布教」にかなり、ヤル気なのだ。
公安調査庁「止めさせる法律を持っていない」
07年3月11日にはmixi内に「上祐史浩 新団体コミュニティ」を立ち上げた。理由は、ホームページにマイミク申請が殺到し、対応しきれないからだという。このコミュには07年3月12日までに約600人が参加。ホームページのマイミクも同600人を超えている。
コミュには「新団体の名前を提案するトピ」も立ち、こんな名前が次々と提案されている。
「Nelph(ネルフ)」「ホライゾン」「インコ真理教」「じょうゆう大国」「SONY」「「チーム上祐」「上祐いんぐ娘。」「真理教VIP」「マイトレーヤ学会」などだ。
「2ちゃんねる」には、上祐前代表のmixi入会に関するスレッドが07年3月10日頃から10以上も立ち「祭り」になっているが、スレッドへの書き込みの数は意外に少ない。
「狙われるんだろうな… 」「これがネット布教というやつか。俺も信者になってみるかな」「とりあえずコメントに書き込んでおいた。俺ポアされんの?」「かつて日本人の9割を虐殺しようとした宗教団体の宣伝マンです」「上祐さんのページ文面読んでるだけで気持ちが落ち着くぜ」「洗脳されるなよ」「マイミクになった後、何度かメッセ送ったら上祐から返信きてた。すごくいい人っぽい」
それにしても、上祐前代表が新団体設立を発表した時、
「公安調査庁は8日、新団体について、『依然として松本死刑囚の影響下にあるのではないか』とし、引き続き観察処分を実施する方針を示した」(朝日新聞07年3月9日付け)ということだったはず。mixi内でのこんな上祐前代表の行動について、J-CASTニュースが公安調査庁に取材したところ、
「(上祐前代表が)mixi内で日記を公開しているのは周知しているが、これに関して話ができる立場には無い」との答えだった。これは上祐前代表にmixiを続けさせる、止めさせるなどの「法律を持っていない」からだそうだ。
ミクシィ広報はこの件についてJ-CASTニュースに対し、
「個別のユーザー様に対するお問い合わせに関しましては、差し控えさせていただきたく存じます」
としかコメントしなかった。