おごれる正社員は久しからず。今やハケンなしに会社は回らない――「平家物語」を思わせる田口トモロヲのナレーションが冒頭部に流れる連続ドラマ「ハケンの品格」(日本テレビ系・水曜22時)が人気だ。視聴率は20%前後をキープしてキムタクの「華麗なる一族」と堂々渡り合っているし、調査会社の「見て面白かったドラマ」アンケートでは見事1位に輝いた。特に、20代、30代の女性の熱い支持を受けている。その魅力はどこにあるのか?
いまの「格差社会」をリアルに反映
春子(篠原涼子)と東海林主任(大泉洋)の激しい「口喧嘩」も見どころの一つだ
「ハケンの品格」は、「給料は時給制でボーナスなし」「交通費は原則自己負担」「3ヶ月ごとに雇用契約の見直し」という厳しい労働環境で働く派遣社員・大前春子が主人公。彼女が働くのは東京・丸の内にある一流商社だが、そこには「正社員>派遣社員」という明確な「格差」が存在する。たとえば、同じ23歳でも正社員の年収は475万円なのに、派遣社員は253万円というように。
このような現実の「格差社会」を反映したリアルな舞台設定が、ドラマの魅力の一つだ。「正社員と派遣社員の立場がうまく描かれていて、どちらの言い分もよくわかる」と語るのは、派遣社員と正社員の両方を経験したことがあるという20代のOL。15年前から派遣社員として働いている40代女性も「私もドラマに出てくるようなイジメを正社員から受けたことがある」とうなずく。
また、派遣社員をさまざまな企業に送り込んでいる派遣会社でも「ハケンの品格」は大きな反響を呼んでいるようだ。ドラマに登場する派遣会社の営業マン・一ツ木(ひとつぎ)さんについて、「派遣の営業のイメージをよく捉えていると思います。派遣先と派遣社員のどちらに対しても必死に対応している姿は共感がもてますね」(派遣会社スタッフサービスの社員)という。