元米大使館勤務の女巡る 新潮・文春VS読売の対決

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   第2の西山事件なのか――。防衛省の一佐が読売新聞の記者に機密情報を漏洩させたとされる事件で、一人の「女性」の存在が突如として浮上した。米国大使館に勤務していた女性とされているが、読売新聞は取材過程における女性の関与を全面否定している。ただ、複数のメディアが伝える、女性、一佐、記者、3人の関係は奇妙なほどに一致している。

「通常の取材ではなかった」ことをほのめかす

防衛省の機密情報漏えいの裏に「女性」の存在、あるのかないのか?
防衛省の機密情報漏えいの裏に「女性」の存在、あるのかないのか?

   この女性の存在が浮上する前触れは、「一佐の事情聴取」の報道直後からあった。
   問題となっているのは、読売新聞が2005年5月31日に1面で報じたスクープ「中国の潜水艦、火災か」。この記事は、中国海軍の潜水艦が南シナ海で潜航中に火災事故を起こしたことを報じたもの。記事では、「日米両国の防衛筋が確認したもの」として、「中国海軍所属の『明』級のディーゼル式攻撃型潜水艦で、300番台の艦番号がつけられている」と詳細に報じている。そして、この情報を漏らした防衛省情報本部の1等空佐は、同省の内部捜査機関である陸上自衛隊警務隊の事情聴取を受けている、という。
   07年2月16日には新聞各紙がこの「事情聴取」を1面で報じ、同日開かれた会見では、久間防衛相はこれについて記者から追及された。久間大臣は、「自衛隊法の改正でマスコミも処罰の対象になる可能性があるのか」との記者の質問に対し、「通常の取材であれば問題ない」と答え、さらに、「今回の取材は通常ではなかったのか」という問いに対しては、

「それは、捜査してみないとわかりません。例えば金銭が動いてそれで情報を無理矢理入手したとか、そういうふうになってくると、これは普通ではないと思います。しかし、こうした通常の取材の中で出てきたのであれば、別ですから」

   と「通常の取材ではなかった」ことをほのめかすような発言をしていたのである。

   そして、その会見から約一週間後の2007年2月21日、一人の女性の存在が週刊誌によって報じられた。その女性とは元日本航空社員でアメリカ大使館に勤務していた、という女性。週刊新潮週刊文春は、同時に次のように女性、一佐、記者の関係を報じている(要約)。

記者と女性は不倫していた?

「当時、在日アメリカ大使館に勤務していたこの女性は、読売の記者の妻の友達。さらに、女性は一佐の旧来の友人で、一佐を読売記者に紹介した。記者はこの女性とただならぬ仲になり(もちろん不倫)、『妻と離婚して、自分と結婚してほしい』と記者は女性に言った。しかし、しばらくしてから、記者はのらりくらりと結婚話から逃げ始め、女性は心を痛める。そこで女性の相談に乗っていた一佐が『いい話がある』と読売記者を呼び出し、話し合おうとしたときに問題の中国潜水艦事故について漏らしてしまった。記者は記事を書き、この女性は大使館から解雇された」

   新潮、文春の記事は、描き方にこそ多少の違いがあるものの、3人の関係についてはまるで同じ。さらに、同じ日の夕刊フジまでもが、ほぼ同じ内容を報じている。これについて、読売新聞社は2誌発売前日の07年2月21日、HP上に「本紙の取材は適正」と題した、本社編集主幹・滝鼻卓雄氏のコメントを掲載。この記者から事情聴取し、「取材が適正に行われたことを確認した」と説明している。さらに、女性の存在については、

「一部週刊誌が『第2の「西山事件」か』などの見出しで、『西山事件』と呼ばれた外務省秘密漏洩事件(1971年)同様、本紙記者があたかも女性を利用して情報を入手したように思わせる記事を掲載しましたが、取材過程に女性がかかわった事実はありません。また、取材先への脅迫など不当な行為もありませんでした」

   と全面否定している。さらに、これと同じ記事が翌日の紙面(1面)にも掲載された。
   しかし、あまりにも奇妙な複数メディアの記述の一致。防衛省近辺でも、この「スキャンダル」をめぐって騒がしくなってきた。防衛広報部報道室は、J-CASTニュースの取材に対し、「それについては何度も問い合わせいただいている」とした上で、

「まだ警務隊が捜査中の段階で、何も発表した事実はない。報道が先行していることは残念だ」

   と答えた。

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