取材断念の理由は「道庁との関係が悪くなるのを恐れる」
ところが、放送が近づくにつれて、こんなメールが流れる。
「さて一昨日のことですがVTR4で伊達市のアンチテーゼとしてあげていたA市の取材が難しくなりました。理由は(1)北海道庁との関係性が悪くなるのを恐れる(2)3月に議会を控えてデリケートな時期で触ってほしくない(3)番組に出ることで団塊世代を受け入れてない町と受け取られることを恐れる、とのことでした(略) そこで残りの80の市町村にあたる中で出てきたのがB町です」(1/21)
「昨日B町の取材が難しいことが分かり、伊達市で団塊移住の光と影を描くことになりました。理由はほぼA町と一緒。道庁の威光、なかなか手強いです」(1/23)
取材メモを通して、「道庁の威光」が明らかになった形だ。
さらに、この時点で放送まで約2週間強。数ヶ月単位で制作すると言われる「Nスペ」にしては意外にタイトなスケジュールであることがわかる。
ちなみにこのディレクター氏、06年11月には「サイバー防御最前線」というタイトルで番組企画書を書き、冒頭には
「今、汚染を拡大するウィルスが『ボットネット』。感染させたパソコンに指令を出し、何千台もの集団で攻撃を加えるウィルスだ。感染パソコンは国内だけで推計50万台。意識の低いユーザーや、普段忘れられているパソコンを中心に感染が広がっている」
とある。
この他にも多数の取材メモや企画書を書いていたことが確認されており、仕事熱心だったのは間違いないようだ。しかし、残念ながら、企画書にある「意識の低いユーザー」とは、自身のことも指していたようだ。
NHKの広報部では、J-CASTニュースの取材に対して、今後の処遇について「(所属している子会社)NHK情報ネットワークの方で、厳正な処分がなされると聞いています」と話している。